講義レポート

五感で楽しむ日常〜眠っていた音世界が広がっていく

「DIYミュージック」第12期 講義レポート

”ある時は、朝ごはんを食べながらの早朝の音楽会。またある時は、時計の針を15時のままの状態でとめて、音楽とおやつを楽しむ『おやつの時間』というイベントを。”

DIYミュージック12期 第3回の講義は、ギター演奏を中心に音楽活動をし、自主レーベルの運営や、ジャケットのデザインも自身で手がけておられるゲストの青木隼人さんのお話から始まりました。

エピソードを聞きながら、私は思わず目をつぶって、その空間で広がる豊かな時の流れを思い浮かべていました。青木さんは「音楽単体ではなく、その状況や風景をつくっているアーティスト」とも言えるかもしれません。その場にいる人たちと音楽のある風景を一緒につくっていくような、そんな空気感が伝わってきて心が躍ります。「私もつくってみたい、表現してみたい」と。

すると、講義の後半では、カセットレコーダーを片手に表参道の音を探すフィールドレコーディングの旅に出かけることに。カセットテープを手にしたのはおそらく幼稚園以来で、自分で音を録音すること自体は初めての体験でした。

表参道という街で感じる何を自分は表現しようかと、耳をすます。。。

今年の4月から関西の大学を休学して、自由大学のインターンとして活動している私は、いつも緑に包まれたCOMMUNE 2ndのこの入口をくぐって、自由大学の教室へと入っていきます。ビルが建ち並ぶこの街で、自由大学のあるこの一角はひときわユニークで、森の秘密基地に入って冒険していくような、好奇心をくすぐる空間に感じるのです。

そんな日常からインスピレーションを得て、大勢の人々や自動車が行き交う都会の街の中に「突如ぽっと現れる森の秘密基地のある風景」を音で表現してみることにしました。

録り終えて再生してみると、カセットテープから流れてくる音には、普段スマートフォンで聞き慣れている音にはない、ざらっとした感じがあったり、思わぬところで想像していなかった流れが生まれていたりと、アナログの面白さを実感します。

そして今度は、教室の机のあちこちに置かれたカセットから受講生全員分の音を一斉に再生。「これは何の音だろう?」と、自分の耳では直接とらえることのできなかった街にひそむ音に耳を傾けてみたり、音の交わりを楽しんでみたり。そこへ穏やかに流れるようにして、青木さんのギターの音色、教授のsawakoさんの歌声が加わっていきます。

表参道の音と重なって、音楽が生まれ始めたのです。

講義後の懇親会タイムでは、DIYミュージックの卒業生で漢方医兼シンガーソングライターの新さんも加わり、音でつながる心地よい空間が広がっていきました。

講義後、表参道から電車に乗って家へと向かう途中、目をつぶって色んな音を感じてみました。「ここにはどんな音が隠れているのだろうか」と。

今日の朝にはなかった日常の中の楽しみが増えていることに、ふと気づく帰り道。これまで「音楽をDIYする」という感覚が身近になかった私にとって、DIYミュージックでのひとときは、自分の中で眠っている感覚を呼び起こしていくような感じがありました。「もっと日常を自分の五感で楽しもうよ」と語りかけているかのように。

(text:自由大学インターン 篠原梨沙

 

ちなみに、この日の音源は「DIY MUSIC COMPILATION Vol.01 〜 TOKYO WONDERLAND」に収録されて、iTune StoreやSPOTIFYで聴けるので、ぜひチェックしてみてください。



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