講義レポート

音と一緒に自分を探す旅へ

DIYミュージック 第10期 講義レポート

中国からの留学生ドリスさんから届いた、DIYミュージック第10期の講義レポートです。

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私にとってDIYミュージックは、「音で自分探しができる」を教えてくれた講義でした。

時として、目より耳がもっと大切です。多くのものは、目で見るより耳で聞いた方がいい。人は(外見的には)楽なふりができますが、声は(そこまでうまく)ふりができません。しみじみ聞くと、すぐわかってしまいます。耳は目より誠実です。髪に隠れて沈黙しながら、往来を行き交う秘密を受け取ります。

講義には、音に興味を持った大学生から社会人、そして私のような外国人まで、色々な受講生が音で繋がって集まってきました。それぞれがそれぞれのユニークな考えを語って、音についての様々な関心の方向性やその理由にふれることができ、しばしば共感を持ちました。人生や生活について、色々な疑問を持って生きてる人たちが、自分自身で見つけるしかないような答え・視点に出会うことができました。

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受講生の中にはバンドでボーカルを務めている人もいれば、音楽のバックグラウンドが全くない人もいます。私も音楽を作ったことがなかったので、はじめはくよくよしました。でも参加してみたら、毎回とても楽しくて、全ての心配が消えてしまいました。

そして、最終回でみんなが発表した作品を聴いた時には、更に感動しました。「1ヶ月ほどの期間で、音楽のバックグラウンドがなくても、こんなすばらしい音楽ができたんだなあ」と思って、とても不思議ですね。やはり心を開いたら、どんな難しいことでもできます。

自然の中でも日常生活の中でも、様々な音で繋がっていて、みなが一つの世界やコミュニティーとして生きています。どんな音にも意味があります。

『52ヘルツのクジラ』って知っていますか?一般的に、クジラの鳴き声の周波数帯域は15〜20ヘルツです。でも、このクジラは非常に珍しい52ヘルツの周波数で鳴きます。だから、このクジラはパートナーや友達ができなくて、「世界でもっとも孤独なクジラ」と呼ばれている世界で唯一の個体です。(Reference:https://ja.wikipedia.org/wiki/52ヘルツの鯨 )このクジラが「好きだ」と言いたい時でも、他のクジラはその声を聞くことができません。クジラの低音の声は数百キロ先まで届くので、姿は未だに発見されていなくて、鳴き声だけが様々な場所で検出されています。最後の記録は北太平洋です。「世界にこんなこともあるんだ!」って、非常に美しいと思いました。

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この講義を受講したことで、新しい世界を見つけました。例えば『Sound Map』『Soundscape』『共感覚』等です。

音をききながら、場面を想像するのが面白いと思います。違う国や文化によって違う音を生み、一つ一つ音で、色々な文化やコンテクストが代表的に表せます。たとえば、民族音楽をきくと、なにか自由奔放な感じがします。雨の音を聴いたら、知らず知らずに憂いことを思い出して、うら悲しいです。人の声にも千姿万態が入っています。見えないことも、音に現れてきます。

録音という方法も、自分の周りの世界をもっと理解する方法だと思いました。自分が録音した音を聴いたら「あー、こんな小さい音もあるなあ、前は全然気づかなかった」っていう気持ちが出てきます。多くの時に、私たちは周囲の声をつい見落としてしまいます。

音というものには、神妙な力があり、言葉がわからない時にも、気持ちを言葉で表せない時にも、音だけでコミュニケーションが生まれていきます。受講した後、音に対する新たな考えが生じただけではなく、生き方についても色々と考えが出てきました。教授のsawakoさんやゲストの方々の講義を受けて「音と実生活の関係はこんなにも強いものなのだ」と感じました。音楽でつながる世界は、一体どこまで行けるのでしょうか?

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この講義を受けたことで、頭の中にたくさんのアイデアがどんどん溢れています。新しいことをいっぱいやってみて、それぞれの考え方や影響を見つけて、真新しい自分を発見していきましょう。

今回の音の旅で、今まで知らなかったことや方法が身につき、また色々収穫があって面白かったです。『自分だけの音楽』を見つけて、自分が表現したいことを、外の世界に伝えるのは、喜ばしいことではないでしょうか?これからも、音とともに、あちこち彷徨い、また、自分を探す旅を続けたいと思っています。

 

(text by 第10期卒業生 Doris Sun)



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