講義レポート

オリジナルに辿り着くまでの道筋

「DIYミュージック」講義レポート

「DIYミュージック」第8期の第二回は、ゲスト講師に音楽家の宮内優里さんをお迎えして、実際に音をつくっていく様子を見せていただきながらの講義でした。

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まずは、宮内さんのこれまでの活動についてのトーク。宮内さんの人生の中での葛藤や音楽との独自の関係性を築くまでのお話は、何かを生み出そうとしている人や、生き方・働き方について考えている人にはきっと響くであろう内容で、とても贅沢な時間でした。

宮内さんが今の音楽制作形態にたどり着くまでには、インターネットがもたらした人(リスナー・聴き手・受け手)との絶妙、かつ、この時代ならではの距離感の誕生がとても大きかったようです。

もともとはお父様が和太鼓奏者で宮内さんも和太鼓をやっていたことがあり、ドラえもん音頭の和太鼓は宮内さん演奏(!)という意外なエピソードまで飛び出しました。

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細かい挫折をたくさんしてきたけれど、それらを全部経ての今の形がある。「自分以上の力を出そうとしていたとき、というのが辛いときだった。」と振り返り、「◯◯になりたい」と思うのでなく、「練習してできることは自分より上手い人がいる、『なんとなく』から生まれてきたものを形にしたい」と語る宮内さん。
おそらくその「なんとなく」には、これまでの挫折や自己否定や評価を得たり得られなかったりしたときのすべてが含まれているからこそ、オリジナルとして最高に面白いものになるのだな、とお話を聞いていて深く感じ入りました。

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トークの後は、製作実演タイム。宿題として、クラスのみんなが持ってきた音が出る様々なものも使いながら、曲を作っていきます。それぞれ個性豊かなバックグラウンドや興味を持つ受講生が集まったクラスから飛び出る素朴な質問にも、丁寧に答えてくれる宮内さん。コンピューターで製作画面を見ながらの説明の中には、すぐに試してみれそうなアイディアが詰まっていて、「音楽製作は初めて」という受講生達も「こうやればできるかも!」とイメージが湧いた様子でした。

和気藹々とした雰囲気の中あっという間に時が過ぎ、気づいたら、講義は大幅延長していて予定の2倍の時間に!刺激やインスピレーションがぎっしりの非常に濃密な時間でした。

(text by キュレーター 鈴木絵美里



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