講義レポート

そもそも私が『DIYミュージック』のことを知ったのは、偶然、講義の記事を目にしたからでした。

音楽に関しては全くの素人だったのですが、『音楽をDIYする』というコンセプトに惹きつけられて、気がつけば参加申込みをしていました。「何か面白いことが起こりそうだ。」という予感もありました。

07foto-01

講義が始まってみると、教授やゲストのお話を聞いたり、音楽アプリや楽器を触って音と遊んだり、最終日の発表に向けて音楽をつくったりと、とても濃い時間を過ごすことができました。

発表会は想像以上にそれぞれの個性が引き立つもので、オリジナリティに溢れていました。例えば、ロケットの打ち上げを見に行きそれを撮影した動画にイメージした音を付けてみた人、自作の作品発表ではなく『音楽に関する問い』を皆に投げかける事でひとりひとりの心の中に音楽を鳴らす試みをした人、アプリやPCのソフトフェアを使って音楽をつくる人などなど。私も曲だけで発表するのは難しかったので、好きな古いアニメーションに音をつけて発表しました。

自分の発表時はやはりドキドキしていましたが、終わって、あたたかい言葉をもらった時には、「誰でも何かしらの音楽は作れるんだ」と嬉しくなったことを覚えています。

07foto-02

この体験を通じて、『音楽をつくること』に対する私の固定観念や音楽の定義が、今までとても狭かったことに、改めて気づきました。そして「楽譜が読めなくても楽器を触ったことがなくても、音楽を作る手法は溢れている。今できるもので、まずは作ってみればいい。そこからスタートできる。」と実感しました。このことは、知識として知っていても、今まで実感することはなかった気がします。

「私も音楽を表現手段として取り入れていきたい」と思えるようにもなりました。こういう創作の学びでは、自分で求める答えを見つけ出していくものなので、その都度自分で試しながら模索する時間ができたことも、講義を受けてよかった点です。

講義には様々な方が集まっています。私のような全くの初心者もいる一方、中には、音楽に関係する様々な分野で活動している人や、リスナーとして造詣が深い人たちもいます。『DIYミュージック』の講義は、それぞれのレベルにあった知識や体験を得ることができる場で、そのばらばらなレベルの人たちが同じ場所に集まって、それぞれの興味を追求していく中で、他の人の音に触発され共鳴してハーモニーのようなものが生まれるのがとても面白いと思います。

作る音楽や好きな音楽は個人個人全然違うのに、ひとりの空間で作っていたらたどり着かないであろう音ができるのは、この講義の醍醐味だと思うのです。

そして、講義が終わってからも、懇親会やSNSコミュニティなどを通して、新しい発見は続きます。私の場合、このコミュニティのおかげで、個人的に叩いてみたかったスティールパンに触れる機会があったり、有志でライブに行くことになったりと楽しみが増えました。また、ご縁があって、アシスタントとして講義のお手伝いをするようにもなりました。

07foto-03
ここまで『音楽』という面で感じたことを綴りましたが、実はDIYミュージックの魅力は音楽の可能性を知り、つくることだけではないと思っています。集まる『人』から得るものが大きいのです。毎回様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まって、私の好奇心が刺激されているのです。

こういう講義は発信する人の磁力に共鳴するメンバーが集まる気がするのですが、DIYミュージックの教授とキュレーター、ゲストの方々が打ち出す方向性に何かを感じて集まったメンバーなので、個性はそれぞれバラエティに富みながらも、何か触発されるものがあるのかもしれません。

音楽との付き合い方は、その都度、自分で試しながら見つけていくもの。どのように変化していくか自分自身楽しみにしながら、これからも関わっていけたらと思っています。

(text & photo by 第二期卒業生・加藤美紀)



関連する講義


関連するレポート