自分がやりたいことを軸に、自由に世界を駆け巡るための旅を考える講義「じぶんスタイル世界旅行」。
実は、キュレーターである私土肥麻梨子も、第2期受講生でした。それまでは「なんとなく」出掛けていた旅も、講義を受けてから創りだす旅は「目的」が明確になり、まさに「じぶんスタイルな旅」となりました。そんな体験を、実際の「ドイツクリスマスマーケット巡りの旅」とともにご紹介します。
やってみたいことの棚卸は宝探し
講義の中では、人生で実現したい50のリストを作成します。今までやってみたかったけど、手がつけられていないこと、これからチャレンジしたいと思っていること、興味があること、さらに自分の知識や経験を深めたいこと、自分の中にある欲求や意欲を棚卸します。私は本業でイベント等の企画運営に仕事で取り組んでいるのですが、リストの一つにも挙げた「本場のクリスマスマーケットを巡る」ことが、「長く続いているお祭りの秘訣を探ることで、私の仕事の一つでもある東北六魂祭の運営にも活かせるのではないか」と思いました。ずっといつかやってみたいと思っていた本場のクリスマスマーケット巡りは、「いつか」ではなく「いま」やるべきだと気づきました。
50のリストは旅をするうえでは自分の欲求を可視化し、自分でも気付かなかった興味を示してくれるまさに宝探しのような取り組み。講義では多くの受講生がここからテーマ設定を行っています。
テーマに基づき、旅を自ら計画すると、実現したい事、やりたい事がさらに明確に
いざテーマが決まって旅の準備に入ったものの、これまでツアーに頼りっぱなしだった私にとって、限られた時間の中で自分がやりたいこと、実現したいことをどうやってうまく詰め込めるか、世界地図や路線図、時刻表とにらめっこしながら、飛行機・宿・交通機関・チケットの手配することは苦労の連続でした。前の年にスペインを旅したときには、無計画旅行を展開して、美術館や名所に時間制限などで入れず1日に2回訪れやっと入れるなど時間を無駄に過ごしてしまった私でしたが、今回は自らの手を動かすことで、最初は「なんとなく」だった希望が、「目的と優先順位」がどんどん明確になって、自然と「じぶんスタイルな」旅計画になっていったのです。
結果として、150ものクリスマスマーケットが開かれる世界のクリスマスマーケットの中心ともいえる「ドイツ」を行き先として選び、「シュトゥットガルト」「ケルン」、ついでにフランスの「ストラスブール」にも足を伸ばす合計7ヶ所のクリスマスマーケット巡りの旅ができました。
比較してみると、そこには新しい気づきがある
講義の中で教授の森川さんから、「同じものを見て回るだけではなく、そこに比較という要素を入れると旅がより深くなる」というアドバイスがありました。私がクリスマスマーケットの比較において注目したのは、その土地ごとの特色がある「グリューワイン(ワインと香辛料などを温めてつくるホットカクテル)」とその「マグカップ」。マグカップはそのマーケット限定で、かなりデザインが凝っているし、しかも毎年デザインが変わるというコレクターにはたまらない展開をしています。グリューワインを飲み終わった後に返却すればマグカップ代は戻ってくるという仕組みですが、そのまま持ち帰ることもできます。とにかく巡ったマーケットのマグカップは全て集めることに決め、結果7つのマグカップを持って帰ってくることになりました。
旅づくりの苦労を乗り越えられた先で得られたもの
また、「クリスマスマーケット巡り」という旅のメインテーマ以外にも「ついでに」達成できそうなことを50のリストから探しました。私はとにかくビール好きということもあり、「現地のビールを飲み比べる」というサブテーマを設定しました。テーマを決めたらいかに準備をするかが大事。単に現地に行ってビールを飲むのではなく、旅立つ前に自由大学の別講義「僕らのビール学」を受講し、ビールの楽しみ方や種類などの知識も頭に入れて、臨みました。
これまでどうやったら「自分の経験値をあげて満足度の高い旅になるか」、を追い求めていましたが、まさにこの講義がそのヒントをくれました。最初は苦戦したものの、旅が終わった後の達成感や自分の中の知識や体験がこれまでの旅とは比較にならないくらい満足度が高く、良い経験ができたと思います。もちろん、良い経験が旅の終わりではなく、本場のクリスマスマーケット比較で得たヒントを、東北六魂祭をはじめとした今年の本業のイベント運営にどう活かそうか思案中です。
皆さんも、自分と向き合って、じぶんオリジナルな旅を創るチャレンジをしてみませんか?
(text & photo キュレーター土肥麻梨子)