これまでの旅、これからの「じぶんスタイル世界旅行」
教授キュレーター含め受講生同士で話し合いながら、自分のこれまでの旅を振り返ってみるところから講義はスタートします。単なる「楽しかった」だけじゃない、旅で感じた記憶を紐解きながら、事象ではなく感情の観点からも自分の視点を探ります。
ユニークな問いを立て、日常に繋がる旅をしよう
旅の感想を聞かれて「面白かったよ」と漠然とした感想しか言えなかったことや、旅から帰ってなにか物足りない想いをしたことはありませんか?
LCC(ローコストキャリア)路線が増えて移動コストが大幅に下がり、組織で働きながらでも以前より気軽に世界中を旅できる環境が整ってきています。航空券やホテルの予約は全てネットでできるし、フォトジェニックな旅のヒトコマや一昔前のガイドブックに載らない情報もいまやネットに溢れています。「日本=日常/海外=非日常」という構図はどんどん崩れてきているのではないでしょうか。
この講義ではこれまで50人以上の方と旅の話を重ねてきましたが「非日常を楽しむだけの旅から、日常に繋がる旅へシフトしたい」「せっかく行く旅を単なる観光で終わらせたくない」という理由で受講される方が回を重ねるごとに増えています。単なる「面白かった旅」で終わらない、「日常までオモシロクなる旅」をすることは実は誰にでもできるのです。
では、旅と日常を繋げるにはどうすればよいのでしょうか?
ひとつの答えとして、「旅のテーマ」が合言葉のように言われるようになりました。たしかにテーマを持つことで、未知の都市やそこで出会う人々との自分なりの接点ができます。自分にフィットしたテーマであるほど、テーマの数が多いほど、旅はオモシロクなります。しかしながら、昨今「旅のテーマ」という言葉が溢れすぎているように感じています。テーマは単に自分の興味関心のカテゴリーに過ぎません。大切なのは、テーマの先にどんな「問い」を立てるかだと考えています。ユニークな問いを立てると、旅はもっとオモシロクなります。日常に繋がる問いを立てると旅が勝手に日常とリンクし始め、日々の暮らしに変化が生まれます。
テーマを決めることは難しいことではありませんが、適切な問いを立てるにはコツが必要です。この講義では、教授・キュレーター・受講生同士の対話などの機会を通して、なんとなく設定していたテーマを、自分らしく具体的な問いに落としていきます。テーマのその先へ。
週末で行ける旅から世界放浪まで、旅する(できる)期間も人によって様々です。面白く旅をすることと、旅の期間には関連性があるのでしょうか?
この講義では、組織で働きながらでもできる1週間程度の旅にフォーカスしていきます。教授をつとめる森川寛信さんは、BRICsはじめ新興国の市場開拓を専門に毎年1/3を海外で過ごすビジネスマンでありながら、10年間にわたって世界最古の球技スポールブールの日本代表(世界10位)、過去にはギャップイヤーと称した世界放浪から、会社を辞めずに世界一周新婚旅行、最近では未就学の娘を連れた父子ふたり海外旅行など、そのときの自身のライフステージにあった旅のスタイルを15年以上探究・実践しています。そんな森川さんは、「ほとんどの旅は、実は会社の休みを活用していける1週間程度に凝縮できる」と言います。
期間も予算も限られている、でもその中に「旅の面白さ」も「日常に繋がるオモシロさ」も組み込みたい。そんな制約こそがクリエイティブを養い、僕らの旅や日常を想像のナナメウエに進化させてくれるのです。
非日常としての観光や放浪の対象ではなく、自分のフィールドを拡げ、日常をもオモシロクしていく旅をしよう。
この講義を通じて、旅を「面白かった非日常」ではなく「オモシロイ日常」への架け橋にしてほしいと思っています。僕は15年以上旅を続けていますが、恥ずかしながら最初は旅は単なる「面白かった非日常」に過ぎず、面白かったけれどどこか物足りなさを常に感じていました。
同じ旅先で同じような経験をしても、そこから何を考えてどんな学びを得るかは人それぞれです。経験と学びの間にはスペースがある。複数のテーマを持ちユニークな問いを立て続けることが、良いスペースの使い方だと考えています。
「観光」とは、光の当たる場所を観ること。でも世界には、もちろん日本にも、光の当たらないオモシロサがたくさんある。日常にそんなオモシロサを見出すきっかけに、旅はなるのではないかと考えています。
Photo:Tomoko Taketani
(第8期募集開始日:2017年9月18日)
第1回
教授キュレーター含め受講生同士で話し合いながら、自分のこれまでの旅を振り返ってみるところから講義はスタートします。単なる「楽しかった」だけじゃない、旅で感じた記憶を紐解きながら、事象ではなく感情の観点からも自分の視点を探ります。
第2回
旅を考えるときに、知っていると選択肢が増えることが実はたくさんあります。ルートの組み方、コストの抑え方など、旅づくりに必要なスキルを学び考えます。できないと思っていたことに解決策があることも。参加者の経験値に合わせて、割安なチケットの探し方やトラブルシューティングといった基礎的な話から、マニアックな航空ルートやマイレージ活用法といった応用編まで柔軟に対応します。
第3回
旅のテーマは、つくるものではなく自分の中から見つけるもの。旅先起点ではなく視点は自分に。「自分がやりたいこと」を起点に、受講生同士で対話しながら旅のテーマを設定します。
第4回
実は本当に大切なのはテーマではありません。テーマの延長線にどんな「問い」を立てるか、対話やワークショップを通して掘り下げて考えます。同じ旅先でも視点がガラリと変わります。
第5回
次の旅を「じぶんスタイル世界旅行」として発表します。大事なのは、詳細な計画ではなくどんな視点で旅を創るか。単なる「面白かった旅」を卒業して、「日常がオモシロクなる旅」ができているはず。気持ちよく言い切って新しい旅への第一歩を踏み出しましょう。