講義レポート

自分と、これから訪れる国の接点をどうつくるか?

「じぶんスタイル世界旅行」トークライブレポート

 

10月29日(日)講義説明会を兼ねて、「じぶんスタイル世界旅行」卒業生である林花代子さん(第3期卒業生)にゲストにお越し頂き、トークライブを開催しました。当日はあいにくのお天気でしたが、ご参加頂いた方々、及び教授キュレーター自己紹介に引き続き、林さんとのトークライブを行いました。トークライブの内容を簡単に振り返りたいと思います。


 

Q:自己紹介をお願いします。

林さん:

マルタ留学ナビゲーターを務める傍ら、日本一マルタを愛する女okayodonとして5年間ほどブログを更新しており、先月9/26には亜紀書房より初著書『まるごとマルタのガイドブック』を上梓しました。

私にとって転機となったのは2012年。人生で一度は留学したいという夢を諦めきれず、37歳にして初の海外留学に飛び立ちました。留学先としてマルタを選んだのは、実は消去法。思い立ってとにかくすぐに留学しようと思ったのですが、有力候補だったアメリカはVISA取得に3ヶ月程度かかると言われ断念、カナダは大学生留学生が多く世代が違うと話が合わないかもと留学カウンセラーからアドバイスされました。逆にマルタは、ガイドブックもなければWEBの情報も少なく、これは面白そうだと思ったんですよね。ないなら自分でガイドブックを出してしまえ!と思って(笑)

そんなきっかけで実現したマルタ留学を経て、転職をきっかけに地元愛媛を離れ上京しました。ところが東京の楽しさにすっかりおぼれまして(笑)、マルタのガイドブックを出す!という目標を見失いかけた2015年に出会ったのが自由大学でした。じぶんスタイル世界旅行や「自分の本をつくる方法」など、3つの講義を同時に受講しました。そして、2016年には会社を辞めてフリーランスへ。人生が動いた瞬間です。

ガイドブックだすだす詐欺と言われかねない状態から一転、攻めの林に転じます。出版なんて全く決まっていない状況で、マルタに1ヶ月間の取材旅に行ってしまったんですね。出版未定なのに1ヶ月間も知られざるマルタの名所やグルメを取材していた私はローカルの中でもちょっとした話題になって、逆にローカルの方からどんどん知られざるマルタ情報を教えてもらえるようになりました。

また、「マルタについて発信する」ために、日本にいるときも自分のスキルはフル動員して行動しました。毎年開催されている自由大学祭2016では、じぶんスタイル世界旅行のブースで、VRマルタ旅行コーナーを設け、自費制作したマルタの小冊子を配布させてもらいました。マルタ留学を考えている女子を対象に、留学相談会を東京、大阪で開催したりもしました。さらに並行して出版社に企画持ち込みを続け、この度ついに上梓という運びになりました。

 

Q:講義でつくった旅について教えてください

林さん:

「世界のビールとおつまみペアリング旅」です。講義の最初に自分のやりたいことや得意なことを100個洗い出すセッションがあって、徹底的に洗い出した結果、自分が本当に好きな「ビール」をテーマにしました。

 

森川:

ちなみに、お題は100個ではなく50個です。50個ではおさまらない方もたまにいらっしゃるんですが、100個出してきたのはこれまで林さんだけです(笑)やりたいことを50個洗い出すのは旅のテーマづくり以外でも意外な副次効果があって、けっこう卒業生の方から講義で洗い出したリストが実現しました!という嬉しい報告を頂くことがあります。出版したり、留学が叶ったり、思いがけず政治の道に進むことになったり、様々ですね。

 

林さん:

単にビールだとありふれているので、自分オリジナルにするために好きな「食」をさらに掛け合わせて、その土地で本当に親しまれているビールに合ったおつまみを探す「おつまみペリング」の旅にしました。最初はマルタに関するテーマしか考えていなかったのですが、「マルタ以外の国にも転用したり比較したりできるテーマの方が、逆にマルタのことにも深みがでる」という森川さんのアドバイスで、あえてマルタ以外のテーマを設定しました。

 

森川:

ちなみにこの講義では、最終回にじぶんスタイルな次の旅について発表してもらいます。旅行会社店頭に並んでいる魅力的な旅行パンフレットと比べても、迷わず時間とお金を投資したい!と思える旅をつくって発表してもらうのが講義の最終回です。

 

Q:おつまみ旅や一連のマルタで、講義で学んだことが役立っていることを教えてください。

林さん:

そうですね、まず1つは旅をさらに深め楽しむ方法でしょうか。さきほど紹介したベルギーの旅では、事前にベルギービールアドバイザーという資格を取得して臨みました。そして現地では、ビール醸造所巡りを通して、ローカルな場所やお店に潜入し、観光ではない本当の姿が見られたと思います。マルタの取材旅では、どう取り組めば達成できるか、自分のいまあるスキルで何ができるか、とことん考えるきっかけになりました。先ほど自己紹介でもご紹介した小冊子やVRイベントは、旅の最中のことではありませんが、旅の前後を最大限どう使うかの一例だと思います。

 

森川:

まさに自分と訪れる国の接点を探す(orつくる)ことが旅をもっと深めオモシロくするコツのひとつですね。自分と訪れる国の間にはギャップがあります。テーマを持つことでそれが埋まっていくんです。最近テーマのある旅とよく言われるようになりましたが、テーマを設定するということは、自分と訪問した国の間に接点をつくってあげることなんですね。それがないと、ガイドブックなどで紹介されているいわゆる定番だけが、その国との接点になってしまいます。

林さんの場合は、テーマをストイックに探究した結果、出版というご自身のキャリアに繋がっています。ただ、必ずしもみんながそこまで目指す必要はないと思っています。むしろ、人から見たらくだらないと思われるようなテーマでもいいんじゃないかと。それによって、旅はさらに深くオモシロくなるし、旅をしているときでなく旅の前後=日常までもが勝手がオモシロくなってくるような感覚です。ただし、なにかテーマがあればいい、テーマはなんでもいい、というわけではありません。昨今テーマという言葉が便利に使われ過ぎているような気がして、僕としては若干違和感を覚えます。本日のイベントのお題は、「テーマをどう設定するか?」に加えて、「テーマからもう一歩踏み込むためには?」です。そのあたりについては、後半の講義の方でお話していこうと思っています。

 

林さん:

もう1つは、旅は人生の縮図だということです。旅を見つめることは人生を見つめること。これまでの自分の棚卸や掘り下げができたのがよかったです。講義を通して自分のしたいことが明確になり、その起動スイッチを押してもらったような感覚でした。

 

森川:

旅は人生の縮図、というのはまさにそう思います。テーマを持つということは旅だけでなく人生にもそのまま当てはまります。基本的には、テーマは多ければ多い方がよいです。林さんの場合、ビール&おつまみのテーマでの出版には繋がらないかもしれませんが、このテーマは今回出版されたマルタのガイドブックでも、現地のクラフトビール工場を取材されたり、それに合うようなおつまみを紹介したりと、活きているのではないでしょうか。定番は抑えつつも、おつまみペアリングなど林さんならではのユニークなテーマでマルタを切ってあるのが、このガイドブックのオリジナリティだと思います。

 

 

Q:直近で取り組まれているマルタ―ツアーについて教えてください。

 

林さん:

H.I.S.さんとのコラボで、「リセット女子旅」を来年3回実施予定です。「リセット&チャージ」をテーマに、特に働く女性向けに心と身体の栄養を得られる旅にしたいと考えています。人生を変えるに①時間配分②住む場所③会う人のうちどれかを変えるとよい、と聞いたことがあります。実際この3つのどれかを変えるのはかなり敷居が高いのですが、リセット女子旅では1週間マルタに行くことで自然にそれができるという提案です。無駄な情報・モノ・人間関係をそぎ落として、現状でも十分満たされていることを知り、次のステップに繋げてもらえればと思っています。

 

森川:

こういったツアーづくりは、ご自身の旅をつくるのと比べて、どういった違いを意識しましたか?

 

林さん:

やはり参加者がいるというところでしょうか。

 

森川:

そうですね、旅づくりの根っこにあるのが、自分ニーズなのか相手ニーズなのかは大きな違いだと思います。いわゆるツアー旅行は、みんなのニーズに合わせているから結果的に定番を抑えるだけの観光旅行になってしまいがちです。そういった旅行から一歩踏み出すには2つ方法があると思います。1つは、今回林さんがプロデュースしたような、誰のためにが明確で、きちんとテーマ設定がされたエッジの立ったツアーに参加してみるということ。もう1つは、自分で自分のためのツアーをカスタマイズしてしまうということ。これらは相反するものではなく、延長線上にあると思っています。

 

 

Q:マルタをテーマに次にやりたいことを教えてください。

 

林さん:

日本とマルタを繋ぐイベントが開催したり、マルタから日本を訪れる人を案内したり交流したりなどインバウンド的なこともやりたいです。あとは、世界のマルタLOVERと繋がること!

 

森川:

まさにマルタを軸に、新しいテーマが次々に浮かび上がってきますね。林さん、どうもありがとうございました!

 

 

トークライブの後、「旅のテーマはどう決めるのか?/旅のテーマからもう一歩踏み込むには?」というお題で講義を行いました。そして、参加者同士でこれまでの旅を振り返りつつ旅のテーマについて考えてみるセッションを行い、講義説明会&トークライブを締め括りました。ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました!

じぶんスタイル世界旅行
https://freedom-univ.com/lecture/world_travel.html/

 



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