自由大学があるCOMMUNE246は、不定期でRAINBOW COMMNEというイベントを開催しています。そこには、国籍や性別を超えた人々が自然に集まり、DJの繰り出す音に身を任せて思い思いに楽しんでいます。自由で開放的で、それぞれの個性が調和しているピースフルな状態。この空気が社会の中にもっと浸透すれば、生きやすくなる人が増えるのではないか。そんな思いを込めて、この講義が誕生しました。
LGBTは身近な存在
第1回目のゲストは、NPO法人虹色ダイバーシティーの五十嵐ゆりさんにお越し頂きました。普段は企業からLGBT研修を依頼され、200〜300人の方を相手に、人権問題やダイバーシティー推進の講師をされています。自由大学の少人数制のクラスに「緊張する〜」とおっしゃりながらも、LGBTを取り巻く社会の現状や、当事者の社会的困難、そしてLGBTの方々に理解を示し支援する「ALLY」の心構えについて、分かりやすく説明して下さいました。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)と言われる性のあり方が多くの人に比べて少数派の人達は、どんな組織、団体、職業、国、場所に関係なく、どこにでもいます。テレビに登場するおネエと呼ばれる人たちは、その中でもごく一部の存在です。
もし、LGBTに関することが増えて来た、と感じるのであれば、それは社会情勢が変化し、話題にすることが出来るようになったからです。2020年の東京オリンピック関連企業の6割がダイバーシティーに取り組んでいると言われています。また「BEST PLACE TO WORK」というアメリカのNPOは、10年ほど前からLGBTフレンドリーかどうか、という指標で企業を診断して認証を与え、その結果が、株価にも影響を与えているそうです。
誰もが生きやすくなるための理解推進の必要性
しかし、まだまだLGBTの方々は社会的な困難を強いられることが多く、理解者を増やしていくことが必要です。日本でも昨年、トランスジェンダーの方が職場環境の改善を求めた裁判を起こして注目を浴びています。「体の性」「心の性」「好きになる性」、私たちはバラエティのある性の中にそれぞれがあり、男女の二択には限らないのです。性的指向、性的自認の度合いによって困難が変わってくることは、もっと認知と理解が進むことが必要です。
例えば、同僚にプライベートな話をする際に、レズビアンである女性が付き合っている彼女を、彼氏と置き換えてシナリオをつくらなければいけない不自由さ。女性と付き合っていることを「周りから変な目で見られたくない」という思いから小さな嘘をつけ続けなければいけない心苦しさは、受講生の誰もが共感していました。また、トランスジェンダーの方は、男女に分かれているトイレのどちらを使って良いのか迷い、生理現象のたびにストレスを抱え、排泄障害になってしまう方が3割もいることを知りました。
もし、あなたがカミングアウトされたら?
あなたのまわりに1人も当事者がいない、と思っているのであれば気がついていないだけか、言い出しにくい状況にあるのかもしれません。第3回目ゲストの小川チガさんは「レズというと、未だに男性の中にはレズビアンポルノと誤解する人がいて、嫌な気持ちになることがある。」と仰っていました。
文部科学省は、全国の国公私立の小中高校にLGBTの子供について配慮を求める通達を出していますが、実際は現場の意識改革と受容力に頼るのが現状です。もし、あなたがLGBT当事者の方に本心を打ち明けられたのなら、勇気を持って信頼してくれたことを受け止め、他の人に口外しないようにしましょう。当事者が一番恐れていることは、本人の意としないところで噂が広がる事です。
五十嵐さんのお話を聞いて、LGBTは総称のひとつとして使われていること、ポジティブなイメージで性的マイノリティの存在をより深く認識できるようになりました。LGBTを理解し、支援する人のことをALLYと呼びます。受講生は、ALLYの姿勢を持って残り4回のゲストをお迎えします。
(text:岡島悦代)