「パソコンやスマホのアプリを使って音楽をやるなんて、よくわからないけど面白そう」と思ったことがきっかけで、DIYミュージックを受講しました。講義を受けてみて、今まで自分が持っていた音楽のイメージを変える発見がたくさんありました。
講義の第2回では、ゲストの楽器メーカーKORGの坂巻 匡彦さんが持ってきた LittleBits Synth Kit を使って、受講生それぞれがその場で組み立てて音をつくり、即興で演奏。「私にも、即興演奏なんかできるんだ」と嬉しくなってしまいました。
第3回、パイオニアの岡田晴夫さんがゲストの回では、岡田さんが世界各地でフィールドレコーディングしてきた音を聴いたり、クラスの仲間が身近な音を録音してきたものを聞きました。いつも聞きなれている音の中に、今まで気づいていなかった音がたくさんあることに驚き、録音する面白さに目覚めてしまいました。
子供の頃から、音楽が大好きで、50歳をすぎたこの歳になるまでずっと、いろいろな形で、音楽とつきあってきました。オルガン、ハーモニカにはじまり、ギターなどの楽器を演奏したり、歌を歌ったり、自分がいいなと感じた音楽であればジャンルを問わず聴いてきました。その音楽には、どれもちゃんとした楽譜があるのが当たり前だと思っていました。
けれども今回の講義で、音楽の楽しみ方はそれだけでないことを知りました。
第5回ゲストの+coffee 宮谷大輔さんには、その場でギター演奏した音とフィールドレコーディングしたものを組み合わせて作曲する現場を見せていただきました。五線譜に音符を書いて音楽を作るのではなく、日常の音や自分が奏でたメロディなどを素材にし、ソフトウェアを利用して音楽が作れるということを実感できました。
最終講義では、絶対私にはできないと思っていた作曲をして、発表までしてしまいました。
全5回の講義は、今まで聴いていた音楽の音のなかにも新たな発見をしたり、楽器や歌だけではない音楽の楽しみ方を模索するきっかけとなりました。音に耳を傾けることで、身近な音や空のうつろい、草木の変化などをよりいっそう楽しめるようになりました。これからも、楽器を演奏することや歌うことが普段は苦手な人たちでも音楽を楽しめる場、音をとおして交流を深める場づくりを模索していきたいと思っています。
(text : 第2期卒業生 柿鶴真子)