講義レポート

DIYと日々の音

「DIYミュージック」講義レポート

自分で曲を作ってみたい!

社会人から友人と趣味のバンド活動を初めてみたものの、作曲できないことで活動の行き詰まりを感じる中で出会ったのが、「DIYミュージック」でした。

正直な所「DIYミュージック」という講義名を初めて見たとき、いったい何をする授業なのか、よくわかっていませんでした。Wikipediaによると、DIYとは「専門業者ではない人が自身で何かを作ったり、修繕したりすること。 英語のDo It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)の略語」とのこと。

はて、音楽をDIYするとは?

そんな中で迎えた第3回講義のゲストは、トイ楽器音楽家の良原リエさん。まだ小さな、でも演奏への意欲満点な3歳のお子さんも同席での、にぎやかな講義が始まりました。

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ドキドキしながら初めてのセッション中

プロとして主に鍵盤楽器を使っての音楽活動をずっと続けてきた良原さんは、あるときから「完全に作り込まれた音楽」よりも、「自宅で自然と鳴る音や、家にある物を使って生み出される音楽」の方が気持ちにしっくり感じるようになり、トイ楽器での演奏を始められたそうです。

今回は宿題として、『暮らしの中で使われているステキな音のするモノ・かわいい音のモノ』をそれぞれが持参しました。持ち寄った物は、リコーダー、ビードロといった音を鳴らす用途のものから、プラスチック製の子ども用櫛、茶せん、万華鏡と音楽とは無関係のものまで様々でした。

でも一人ずつ「これはこうしてみたら、こういう音が鳴って…」と説明していくと、「確かに!」「良い音〜!」と、皆興味津々にいろんな音を鳴らし始めました。

宿題の発表の後は、まずは持ち寄った物だけを使ってセッションをすることとなり、「こんな物で曲になるの?」と内心思っていた私は、録音を聴いて驚き、正直感動しました。きちんと曲に、音楽になっていたからです。

次に、良原さん持参のトイ楽器も使い、持ち寄った物と合わせて更なる大セッションが繰り広げられました。今度は音の厚みが更に増し、なんというか、より一層「ちゃんとした音楽」という仕上がりで、私はまたまた感動してしまいました。

このときに、人生で初めて「私でも作曲できるかも」と思ったことを覚えています。

これまで音楽といえば、「メロディーがあって伴奏があって作曲するにはコードとか構成とかいろんな知識が必要で…」と難しく考え、なかなか行動に移せずにいましたが、「もっとシンプルに、音があればそれだけで一つの作品になるのだ」と、このセッションで気づくことができたからです。

 

02

この日使った彩り鮮やかな楽器たち

音楽をDIYする。踏み切りの音も、お皿を洗う音も、通勤の足音も、日々の中で生まれる「音」すべてが素材であり、それを使って紡ぎだされた作品はなんだって音楽だ。

それが、私が考えるDIYミュージックであり、この講義で得られた一番大きな学びです。

今後も、いろんな音を使って、偶然の中で生まれる音楽をたくさん見つけていきたいなと思っています。そして「音で何かを表現したい」と一度でも思ったことがある方は、是非この講義を受講して、新しい音楽の世界を覗いてみてほしいです。

Text:第3期卒業生 吉澤友里恵 Photo:第2期卒業生 加藤美紀



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