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FLY_041 小平託(後編)

「ここでやるのか、一生やらないのか。」“自分でドリップする”コーヒーショップ「MINEDRIP COFFEE」ができるまで。(後編)

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小平託(MINEDRIP COFFEEオーナー/マイクロエンタテインメント株式会社 代表取締役社長)昨年12月「お店をはじめるラボ」を受講し、最終プレゼンで発表した「自分でドリップするコーヒーショップ」の事業を実現させるため、会社の退職と独立を決意。教授の井本喜久さん(いもっちゃん)に取締役就任を依頼し、日本を代表するコーヒーロースターの中から好きな豆を選んで、”自分でドリップする”コーヒーショップ「MINEDRIP COFFEE」を立ち上げた。2016年4月29日(金)、新宿新南エリアにオープンする商業施設に第1号店を出店予定。出店にあたり、現在クラウドファンディングに挑戦中。


※前編はこちら

Q. 最終プレゼンが終わった後、いもっちゃんに「コーヒー事業を実現させるから取締役になってほしい」という依頼をしに行ったんですよね。

事業を始めようと思った時に、いもっちゃんにデザインの相談をしようかとかいろいろ考えてたんですね。でもそれじゃちょっと足りないなと。何かを始める時ってメンターの存在が重要だと思っていて、その人がすべてを解決してくれるわけではないですが、自分が犯そうとしている初歩的なミスや考え方の違いを指摘してくれる人がいて欲しいなと思って彼にお願いしました。

Q. なぜいもっちゃんだったんですか?

そこは動物的な勘が強かったですね。いもっちゃんの講義を受けて彼の凄さや魅力を知っていたので、「なんとかしてこの人と一緒に仕事がしたい」と思いました。彼に取締役を依頼した時のリアクションも面白くて、普通「取締役として入ってもらえませんか」なんて言ったら、手続きとか待遇とか株がどうとかっていう話をされると思うんですけど、いもっちゃんは即答で「いいよ!」って言ってくれて(笑)。いい意味で拍子抜けしましたね。

Q. いもっちゃんと事業を始めることになって、そこからどうやって「MINEDRIP COFFEE」の出店まで動いていったんですか?

はじめは出店のことはあまり考えていなくて、まずはいろんなロースターの豆が買えるECサイトを作ろうと思っていたんですね。お店は「いい物件があれば出したいな」程度だったのですが、いもっちゃんが「ルミネの新しい商業施設の屋上エリアをプロデュースすることになったから、そこに店を出さない?」って言われて。あまりにも軽く言われたので「いいっすね!」くらいの返事をしていたら、1週間後に図面が出てきて(笑)。で、そのまた1週間後に「端っこで出すのもなんだから、ど真ん中ででっかくやろう!」って言われて…。そこからトントン拍子で話が進んでいって、なんだか夢のような感じはありますね。

Q. 今までになかったようなコンセプトのお店ですよね。

いろんなロースターの豆の中から好きな豆を選んで、それを自分でドリップするというお店なので、ちょっと変わってはいますね。「セルフ」と言うと安っぽいイメージがある方もいると思うんですが、「”自分の家での幸せな時間”を最高の環境で体験できる」という部分を磨きに磨いて、そこを楽しんでもらえるようなお店にしています。このお店でドリップという体験を楽しんでくれる方が増えればいいなと思っています。

MINEDRIP COFFEE クラウドファンディングページより)

Q. 初めてのお店にして大きな舞台での出店だと思いますが、不安はないですか?

やっぱり自分が経験したことがないことなので、不安はもちろんありますね。それを補うために経験のある方にいろいろと伺っています。ただオペレーションの細かい部分などはまずは自分で考えないといけないなと思っていて、いろんなパターンで何度も何度もシミュレーションをしています。私自身お店で待たされるのが好きではないタイプなので、いかにストレスを感じずお客さんに楽しんでもらうか、ということはすごく考えています。

Q. 今回のクラウドファンディングはなぜ始めることになったんですか?

一番は「MINEDRIP COFFEE」をいろんな人に知ってほしい、という思いがあります。お店のコンセプトとして、「こちらがこういうものを用意するので楽しんでください」というよりも「お客さんと一緒に作っていく」という部分が大きいんです。だからお店を作っていく過程すらも一緒に共有できたらいいなと思い、クラウドファンディングを立ち上げました。お店ができる前からいろんな人を巻き込んでいけたらいいですね。

Q. ちなみに「MINEDRIP COFFEE」は「いろんなロースターの中から好きな豆を選んでドリップできる」というのも大きな魅力だと思うのですが、どんなロースターに声を掛けているんですか?

国内のロースターの中で、豆の生産地まで足を運んでいる方限定でお声掛けしていますね。やっぱりコーヒーに対して真摯な思いやこだわりを持っているロースターの豆を用意したいと思っているので。今いろんなロースターと交渉しているところで、最終的には10~15店のロースターとお仕事ができるように動いています。

Q. 店舗とは別に、ECサイトも同時並行で進めているんですか?

そうですね。4/29(金)の店舗オープンの少し前に、ロースターの豆が購入できるECサイトもオープンする予定です。お店まで来ることができない方もいらっしゃると思うので、そういった方たちにもいろんなロースターの豆を手軽に買えるようなサイトにしたいと思っています。

Q. 「お店を出す」というのはひとつのゴールだと思うのですが、その先にどんなことにチャレンジしてみたいですか?

会社名が「マイクロエンタテインメント株式会社」というのですが、「日常に存在する小さなエンタテインメントを掘り起こし、再構築する」という意味が込められています。今後はアナログな部分とデジタルの部分を融合させて「ひと昔前ではできなかったけど、今だったら実現できる小さな幸せ」を追求していきたい。そういうものを生み出すことで、一人一人のこれまでの生活スタイルにちょっとした変化をもたらせたいです。

例えばコーヒーで言うと、毎日飲みたい味ってちょっとずつ違うと思うんですね。朝はこういう味が飲みたいけど昼はこういう味とか。今回の「MINEDRIP COFFEE」で実現したいと思っているのは、各個人が「自分の好きな味がわかるようになり、自分で作れるようになる」ということ。例えばですが、アプリで入力していくとだんだん自分の好きな味がわかるようになって、その味を作れるようになるような仕組みを作るとか。そこに「他の人はどうやってどういう味を出しているか」などのソーシャルな部分も加えて、コミュニティがどんどん広がっていく。それがバーチャルでもリアルの場でもどんどん起こっていって、コーヒー社会の新しい文化の醸成に貢献できたらいいなと考えています。

【関連サイト】

「MINE DRIP COFFEE」クラウドファンディングページ

自由大学「お店をはじめるラボ」講義ページ

【取材後記】託さんが講義で最終プレゼンをした時、ちょうど私も見学していました。その時にとてもいいプランだなと思ったのですが、まさか数ヶ月後に本当に実現してしまうとは!託さんの行動力と勇気に脱帽です。

「やらない理由」を探せばいくらでも出てくるけど、それを考えてたら永遠に行動はできない。そして行動を起こした人にだけチャンスはやってくるし、逆に言えば行動を起こさなければチャンスは一生やってこない。もし形にしたい思いがぼんやりとでもあるのなら、まずは小さな一歩を踏み出してみる。その先には思いもよらない展開が待っているかもしれません。

(インタビュアー/写真/ライター: #増田早希子


 

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。



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