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【vol.15 ルールの本質】岩井謙介

鮮度のある學び

今、3ヶ月に一回に開催するNordic Lifestyle Marketに合わせて発行しているライフスタイルマガジンa quiet day Season6を今回も出版した。今号は北欧の人たちが無意識に行なっている、問題や課題に対して一見別の非効率なことを行なっているようでいて、本論の考えを寝かし、深め、その経験から問題を突破するアイデアをブラッシュアップさせていたりする考え方のプロセスを「Nordic Breakthrough」というキーワード、そしてテーマにして、様々な北欧で活躍している人たちにインタビューをしている。

その中でも、昨年秋に開講した「クリエイティブ都市学—北欧学」にもゲストに来てもらったNorwegian Rainや自身の名前のテーラーブランドも持つT-Michaelに会いに、ノルウェーのベルゲンという場所まで行ってきた。彼のお店の中には、彼がデザインして作ったジャケットやレインコートの他に、モノづくりが細部まで徹底して行われていたミッドセンチュリー期の家具や照明が所狭しと並び、さらにはワインやウィスキーのバーカウンターまでもが、自身がデザインしたジャケットやレインコートよりも目立つところに陳列している状況だった。
彼は、お店が存在している理由を、「(ファッション以外の)他のことを語らい合う場」と言い切っており、そんな彼に、仕事の中でどのような困難などにぶつかるかを聞いてみた。すると、お店に来てくれた人たちが良いと思えるエキサイティングで居心地のよい状況をどう作るのかという部分がとても難しいと答えてくれた。特に異なるものの組み合わせが多いこのお店の中でその状況を作るためには、既にあるルールややり方は当然通用しない。新しいやり方を考え出すしかないらしい。だからトライし続けることが大事で、もしそのトライを続けているなら時間が常に良い方向に導いてくれるとも語ってくれた。

こういった物事の本質をとらえた考え方やマインドが北欧的ともいえるのだが、過去の全く別の状況でもルールに対して同じマインドを持った事例がある。かつて世界のヒッピーの聖地にもなったことのあるデンマークの首都のコペンハーゲンに位置するクリスチャニアでも、その勢いが全盛だった際にはクリスチャニアに新しい人が居住者として入る場合は、8つのエリアの首長同士が話し合い0ベースで新たなルールを組み上げた。既存のルールを押し付けることは決してなかったそうだ。

都市の中にユートピアを求めたヒッピーたちの聖地クリスチャニアのルールへの考えたらと、今勢いがあり面白い状況を作っているショップの考え方が似通っているのは、果たして偶然なのだろうか。今世の中や都市が人間らしいコミュニケーションを求めている結果だろう。だから、人間らしくコミュニケーションをとってその場の状況・ルールを作っていかないといけないのではないだろうか。

片言に日本語で「七転び八起き」とT-Michaelがいったようにトライをする心をまず持ってみよう。



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