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【vol.11 媒介するカメラ】佐藤大智

価値の濁流

自由大学READY STUDY GO

「あなたの個性はなに?」と突然聞かれると、即答することは意外と難しい。48人いるアイドルグループのように自分にキャッチコピーをつけているなら自信を持って大きな声で答えられるかもしれないが、彼女たち以外にはそういないだろう。思春期だった小中学生のころ多くの人が個性を意識しはじめる。その延長で自分の中で反芻し悶々と考え続けてもなかなか答えにはたどり着かない。

ベクトルを内側に向けても見つからないなら、外側に向けてみたらどうだろう。アウトプットからの個性の自覚だ。アウトプットは必ず個性の影響を受ける。そして、何かものをつくり外側に出すことで、より客観的に向き合うことができる。他者との比較も明確にできる。

僕は、写真に興味をもった。シャッターを押すだけで簡単にアウトプットができ、それぞれの人が撮る写真はどれも大きな差があり比較がおもしろいからだ。同じ瞬間、同じ場所にいても、同じ写真はできあがらない。カメラを介することで、自分だけが見ている世界を自覚できる。どこに注目しているのか、何を良いと思うのか、光の感じ方、写真のその瞬間に立ち会うということはどんな行動習慣をしているのか。そんな要素が写真には含まれている。世界と写真の間には個性が介在しているはずだ。個性そのもを見つけるのではなく、含まれる要素から多面的にあぶり出す。

何がいいか問い続け、撮り続ける。それを1ヶ月後、1年後、10年後見返すと。その変化に驚く。子供のころはインスタントカメラで撮っていて、今は一眼で撮っているが、大きく変っているところと、共通してるところがあったりする。写真という共通のフォーマットがあるからこそ定点観察として変化がわかりやすく、おもしろい。

(担当講義 カメラで捉える感性



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