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創業スクール

2016年度のクリエイティブ創業スクールは、7月のキックオフイベントから募集が始まり、書類選考を通過したメンバーが集まりました。スクーリングの総時間は、土日祝日集中で22時間。最終日には各人が考えた創業プランが発表されました。

(キックオフイベントの記事はこちら

 

好きな事を仕事にするのは特別なことなのか?

創業スクールというと、マーケット解析や資金調達などのデータが積み上げられ、マネタイズありきの計画を練ることが目的ですが、自由大学では創業への情熱や志、社会に対する使命感も重視し、毎年開講しています。そこには、自由大学界隈で情熱をエンジンに仕事を始め、成功している例が少なくないという事実があります。アイデアがまとまったら、初期設定をし、スタートポイントを見極めて実行し、結果を見る。情熱のあること、好きな事を仕事にして成功するのは、一部の特別な天才だけなのか。

講義の中では法人化について資金調達などプラクティカルな内容もあり、すでに創業している先輩のケースについて話を聞く機会も多かったのですが、なにをやるのか?(結論)

なぜやるのか?(背景と目的)どうやるのか?(手法や陣容、お金のやりくり)を明確にする棚卸し作業に時間を割いた人が多かったようです。自分が本当にやりたいことを掘り下げて創業ということでないと、クリエイティブ創業とは言えない、というのが自由大学ならではのスタンスなのでしょう。

創業スクール 大内征

濃密な22時間をサポートしてきた教授・キュレーター陣  大内征さん(ベーシックコース)

創業 望月

望月暢彦さん(第二創業コース)

メンバーの状況はそれぞれです。すでに個人事業主として独立していて、法人化を考えていたり、新事業に取り組もうという人もあれば、これから会社を辞めて独立しようという人。会社員を続けながら複業を考える人、今回は社会経験のない学生の参加もあり、経歴、世代など多様な座組になりました。

 

既存産業の再構成

すでにフリーランスとしてキャリアがあるケースでは、「日本や海外の伝統的な技術や素材を新しいデザインに取り込んだライフスタイルの提案」「低迷する既存メディアのあり方を見直し、本物志向の情報ビジネスを展開したい」など、既存ビジネスを新しい視点で構築しなおす提案が目立ちました。一方で「キャリアで身に着けたスキルをよりパーソナルなサービスで展開する」など、規模は小さくても見える顧客に直接貢献したいという働き方の提案もありました。

 

自由大学らしい問題定義とソリューションとしての起業

また、社会経験の中で、日ごろ気になっていたり、疑問に思っていたことを突き詰め、社会にたいして提案できることとして事業プランを考えた人も多数ありました。人とつながる場を提供する新機軸のカフェや飲食店、豊富な旅行経験を生かした、旅先で便利な最新情報が更新される旅メディアや電子書籍、都内に居ても旅気分を味わえるコミュニティ要素が強いゲストハウス、など旅キーワードのもの。生産者と消費者をつなぐ、本物志向の厳選された商品を扱うショップやブランドなど、自分の好きなジャンルと採算ベースでは事業化できにくいニッチな市場を掛け合わせたビジネスを提案する人。今回もならではのプランが多数提案されたようです。

 

10代、20代の意見が新鮮、若い世代のプレゼンテーションも

学生の参加も新しい局面です。まだ社会経験のない学生が考えるビジネスは、今自分が学んでいること、周囲にいる学生や学校関係者など、身近なソースを活用した小さなビジネスでありながら、世の中のニーズを考察し、可能性にあふれるプランをプレゼンしていたのが印象的でした。10代や20代前半でいかに働くかを考える早熟さと真摯さに、社会人メンバーは大いに刺激されたようです。一方で学生生活以外に将来どうするか、仕事について根本から考えなくてはならない、組織に頼って生きることへの不安も感じられた発表でした。

創業スクール レポート

昼から日暮れまで熱のある発表が続く…

「自分が何をしたいのか」にたどり着いた4日間

すべてのメンバーが準備万端4日で完成されたプランを提出できたわけではない、というのもベーシック創業コースらしいところ。自分はどういう人間で何がしたいのか、まずはそこからという人も。事業として提案できるほど固まってはいないものの、4日間真剣に考え、仲間の意見やプランに刺激されて、それぞれが結論を得たということもあったよう。完成度はどうあれ、参加した人はそれぞれ、自分にとって仕事ってなんだろう、働くことで何を求めているのかということを改めて考えることができた、という感想を持ったようです。

スクーリングという機会を得て、心にある想いを整理したり、書きだしたり、人に話したりと、行動することで形にし、展開させ、ビジネスとして立ち上がるかもしれない可能性を感じた22時間、稀有な時間を共有し、特別な絆も生まれたに違いありません。最終日5時間にわたる熱気あふれるプレゼンテーションは、未来に縁をつなぎつつ無事終了しました。

創業スクール レポート3

(撮影、取材、テキスト:ORDINARY)

 



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