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神社学」は気づきの場であり、そこから先につながる場として体験プログラムも用意している、と中村真さん。神社学をとおして知り合った仲間たちは、中村さんにとっても大きな財産になっています。中村真さんの完結編。聞き手は、自由大学学長の和泉里佳さんです。

聞き手:和泉里佳(自由大学学長)
司会:高橋宏文(フリユニラジオ編集長)
写真:水澤充

part1 人生の価値観が変わった若い頃の旅
part2 グレイトフル・デッドからエココロへ
part3 神社が好きという気持ちをシェアする「神社学」
part4 「神社学」をとおしてつながっていく世界


「神社学」をとおしてつながっていく世界

和泉 「神社学」には今までどんな人が来ていますか?

中村 ちょっと変わっている人が多いですよね(笑)。でもそれが変わっているのか、そっちのほうが普通なのか、これは見方によってぜんぜん違うんだろうけど、いずれにしてもいろんな人がいます。神社に少し詳しい人もいれば、「神社とお寺の違いから教えてください」という人もいる。でもその幅ってそんなにはない。自己紹介のときに「まったくのド素人です」という人も「けっこう神社まわっています」という人も、あまりここの幅はそんなに変わらない。

和泉 日本で神社に行ったことのない人ってほとんどいないと思うんですよね。

中村 ほとんどいないですよね。そういう意味では、知っていようが知っていまいが興味あろうがなかろうが、日本人にとって神社という共通項はけっこう最大公約数に近いことなのかなというふうに思うので、興味を持っている人は本来いるはず。でも、ナイーブな問題があるゆえに、どうやってそこに興味を見出せばいいかわからないまま流れていっている人は多い、ということには気づきました。だから、神社というひとつの切り口をシェアすることで知り得ることって、たぶんそれぞれ違うと思うのね。僕にとっては日本を知ることになっているけど、ほかの人にとってはもっと心のありようを感じるとかね。表現はいろいろあるんだろうけど、それは一歩踏み込んでもらって、受講した人に何か気づきがあればね。「神社学」は気づきの場なので、そこから先につながっていったらいいなというのはありますね。

和泉 それで「神社学 体験プログラム」もあるということですね。

中村 そうだね。「神社学」は基本的に座学で行なっていく。僕自身も気づきがたくさんあったなかで、いろんな神社とのつきあいも増えてきて、神社に実際に泊まってみたらこれはまたもう一歩踏み込んだところの楽しみがあるのではないかと。そこでこれも和泉さんに相談させてもらって、座学ではない宿泊体験だけでひとつ講義を構築してみようということで、2012年の後半から「神社学 体験プログラム」も展開させてもらっています。

和泉 体験プログラムではどんなことをするんですか?

中村 まず神社に泊まるので、深夜の神社を体験できるし、神社で朝日を浴びながら朝5時に起きてみんなで掃除をするとか。それから、神社でご祈祷してもらった人はいっぱいいると思うんですが、ある植物を神様に捧げる「玉串奉納」という儀式があって、あれは榊という植物なんだけど、これは日本じゅうの山にけっこう生えている。今、体験プログラムでお世話になっている栃木の賀茂別雷神社は山間にあるのですが、僕らも朝に宮司さんたちと一緒に山へ入って、玉串にはこの枝のかたちがいいねとか言いながら、ほかの一般の参拝客が使うための玉串を選定して綺麗に準備する。また、神社にはいろんな神飾りがありますが、ああいうものも実はみんな手づくりなんだよね。宮司さんはそれを仕事でやっているんだけど、それを少しお手伝いさせていただく。その都度、タイミングにもよりますが、たとえば神社の社殿の一部が壊れていたり穴が開いちゃったとか古くなったというところを修復するお手伝いなんかもしてもらいます。それから「神職体験」ということで、宮司さんや巫女さんの衣装を着て神職を体験しながら、神職さんたちがおやりになっている儀式を教えてもらい、実際に自分たちだけで儀式としてやらせてもらう。これはやはり神様の目の前でやらせてもらうことなので、けっこうピリッとした緊張感もある。

 

 

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中村 ああいう神職の方たちがやっていることって、本当にすべて儀式なんだよね。すごくルールが多いなというのは最初に感じたんだけど、あれを紐解いてすべて体験させてもらうと、神様に対して尊敬や感謝の念を持って何かをするときには自ずとこうなるな、ということがすべて作法になっているんです。だから、儀式も作法も何ひとつ特別なことはなくて、大事だと思えば確かにここで頭が下がるよなとかこういう手の合わせ方するよなとかいうことの積み重ねが神職の仕事になっているんだなと。これは僕も「神社学 体験プログラム」で初めて知ったことで、それまではひとつの作法やかたちとしてとらえていたんだけど、今はそういう理解ができるようになったので、より楽しくなっていますね。

和泉 どんどん予想しない、いい感じで広がってきていますよね。

中村 これからが楽しみですね。もっとどんどん変化していきたいと思っているんだけど、一方であまり調子に乗らず、神社のことだからね。僕は変な宗教団体をつくりたいわけではないので、目下の喜びとすれば、自由大学の「神社学」をとおして「神社が好き」という仲間といっぱい知り合えたことは僕自身もすごく財産になっている。この財産があるからトライできることがあるんだろうと。今、神社アプリという、どこにいても神社の検索ができて、そこからナビゲーターが道順を教えてくれる、みたいなアプリをつくっています。このアプリをつくるときにも、「神社学」の仲間たちに「この神社の写真がないんだけど、誰か持っている人いない?」って訊くと、上がってきたりするわけですよ。だから、自分がつくりたいものをつくるときに、また協力してくれる仲間にも巡り会えた。

和泉 また今までのことが融合してきていますね。

中村 本当に安直な言葉ではあるけれど、「無駄なことは何もないんだな」ということを感じる毎日ですね。

和泉 では最後に、フリユニラジオのインタビューでみなさんに訊いている質問があるんですけど、中村さんにとって人生でもっとも大切なものは何ですか?

中村 人生でもっとも大切なものは「楽しむこと」。人生って結局、瞬間瞬間の重なりあいだと思うので、今その瞬間瞬間をいちばん楽しめるモチベーションでずっといたいな、というふうには常に思っています。


中村真
株式会社エスプレ元代表 1972年東京生まれ。雑誌『ecocolo』や書籍『JINJABOOK』などを発行する出版社株式会社エスプレの代表を務め、現在はプロデューサーとして活躍中。学生時代より世界を旅し、外から見ることで日本の魅力に改めて気づき、温泉と神社を巡る日本一周を3度実行。出版のみに留まらずイベントや社会貢献プログラムなど様々なメディア活動を展開中。神社とグレイトフル・デッドをこよなく愛する40歳日本男児。
株式会社エスプレ ecocolo

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