こんにちは。「伝わる文章学」キュレーターの岡島悦代です。第1期卒業生の伊東宏子さんより、第3回講義のレポートが届いたので、さっそくご紹介します!
▲鈴木収春教授(左)と第3回ゲストの門倉紫麻さん(右)
書きたいけど、書けない。書き始めたけど、進まない。プロのライターでもそんな時はあるのか。あるのなら、どうやって乗り越えているのだろう。
この講座では、第一線で活躍するプロのライターや作家から直接話が聞ける。第1期のゲストライターは、漫画関係に詳しい門倉紫麻さん。「少年ジャンプ」作家へのインタビュー集『マンガ脳の鍛えかた』(集英社)などの著書がある。漫画『宇宙兄弟』をきっかけに宇宙飛行士にインタビューした際のエピソードは、一漫画ファンとしてとても興味深かった。
門倉さんはインタビューする際、事前の準備を怠らないそうだ。著書(あれば)はもちろん、過去のインタビュー記事を調べ、資料を読み込んでいく。その後、質問案や仮のシナリオを考え、当日は雑談を含みながら、相手が伝えたいことは何かを意識してインタビューするという。
「事前準備をしているうちに、聞きたいことが浮かび上がる」。門倉さんはこう語った。本当にそうなのか。その回の宿題は「丸の内朝大学について調べて、そのことを知らない人に向けての紹介文を800字で作成すること」。門倉さんの話を受けて、私は実際にインタビューを試したくなっていた。
知人に丸の内朝大学に通っている人を紹介してもらうと、電話インタビューを快諾してくれた。時間は20分、質問は10コ用意。初回の授業で学んだプレゼンの基本「課題」「解決」「未来」の手順を、インタビューにも取り入れることを意識して、シナリオを組み立てた。そして実行。
電話を置き、先方の話したことをまとめてみる。ちっとも面白くない。当たり前すぎる答えばかりで、これではわざわざインタビューした意味がない。もう一度考えた。彼女が一番伝えたかったことは何だろう。彼女が特に力が入れて話した箇所を思い出した。
翌日、私は再び彼女に電話をいれた。
提出した宿題は添削されて真っ赤になった。雑誌のタイトルの間違いや、余分な言い回しなど、自分では気が付かない指摘に目からウロコだった。
けれど。
今回やってみて気がついた。書きたいのに書けないのは、どうやら情報の掘り下げが足りなかったようだ。なぜならインタビューの後に書いた800字の宿題は、勢いよくあっという間に書き上げられたのだから。