講義レポート

火を囲みながら持続可能な暮らしについて思考する新講義「火を自給する」のプレ講義として、自由大学クリエイティブチーム+有志のキュレーターでmyロケットストーブづくりを体験しました。気持ちよい自由大学のルーフトップテラスで日曜大工な時間です。

fire01

教授の小池雅久さんとキュレーターの厚海俊司さんは兄弟なのです。なるほどちょっと似ているような。数年前に東京から長野に移住したアーティストで建築家でもある小池さんは一見強面(?)な感じですが、話し始めるとその面白さにぐんぐん引き込まれていきます。そもそもロケットストーブとは?講義ページにも書かれていますが、ロケットストーブとは燃焼効率のよい薪ストーブのこと。調理器具であり、暖炉でもあり、コミュニケーションの装置でもあるようです。今回の講義ではなぜこれを自分でつくるのか?小池さんがこれまでつくったロケットストーブやTLUDストーブなど大小いろいろなストーブを見ながら、エネルギーのこと、燃焼の仕組み、世界の森林環境や人々の暮らしのこと、健康のことなどいろいろな視点からお話がありました。中学や高校時代に勉強した物理や化学、地理や技術の時間を思い出しつつ脳が心地よい疲労感。

今回は2種類の大きさのペンキ缶を使ってTLUDストーブ(Top-Lit Up Draft stove)をつくります。キリや電動ドリルを使って穴を開ける作業は、最初はちょっとドキドキしましたが、だんだん豪快にそして爽快に。空気を取り込む穴、木質燃料ガスが通る穴、空気を温める空間、装置の仕組みや役割を考えながら作業は進みます。完成したら小池さんが長野の山から拾ってきてくださった枝や板切れ、杉の枯れ葉をつめていよいよ着火!

fire02

なぜだかとても美しい火。普段見ているガスコンロの火の色やゆらめきとは違うエネルギーをもっているような気がしました。枝の太さや木の種類で燃料としての質が変わってくるそうです。公園や庭先に落ちている小枝を燃料にして沸かしたお湯でコーヒーを飲んだらどんな味がするだろう。普段注目なんてしない小枝がエネルギーに変わる瞬間。何を燃やそうかと考えると、小枝に松ぼっくり、捨ててしまうような割り箸も宝物に見えてきます。ゴミがエネルギーに変わるスイッチ。紙を大量に使う会社でエネルギーを使ってこれを廃棄するならエネルギーに変換してお茶でも一服どうですか、なんて話も。燃料が変わればと燃焼時間も変わるとか。穴を増やすとキレイに燃えるんじゃないかとか、大きくするとどうなるかなとか、実際燃やして火を見ながら自分でさらに研究しながら改造していけるっていうのもまた面白いですね。うちの庭先やキャンプにフェス、生きもののような火と長くつきあっていきたいものです。

fire03

大人のひそかな火あそびを通して、いろいろなことを思考する、そして暮らしの中のちょっとした変化を楽しんでいく、そんな講義になりそうです。

(text:自由大学クリエイティブチーム 和泉里佳



関連するレポート