講義レポート

ぼくは朝ごはんを食べない!?

「朝ごはん学」講義レポート

朝ごはん学キュレーターの岡島です。2012年に原宿IKI−BAキャンパスが新たな拠点となり、朝ごはん学がスタートしました。「人生をつくる朝ごはんって何を学ぶの??」と興味と疑問を持った方も多いはず。そこで先日、晴れて第1期生を卒業した蒔野さんよりレポートが届きました。受講前はコーンスープ缶が朝ごはんだった彼の成長記録をお楽しみ下さい。


僕は、朝ごはんを食べる習慣がなかった。10年くらい。たぶん。
ああ、今日も朝ごはん食べられなかったーではなく、朝ごはんの”あ”の字も出てこなかった。朝ごはんを食べる、という意識がそもそも抜け落ちてしまっている、といった方が正しかった。なんなら変に朝なにか物を食べると腹を壊すぐらい。なぜ食べないと言われれば朝は眠いし、遅刻しそうだし、そんなに腹も減らないし、新陳代謝も悪いし、別段困ってはいない。でもなんとなくピリッとしない。そんな毎日、そんな生活を送っていたある日、何の気なしにクリックした先にこんな言葉が出てきた。

“朝ごはんを意識することで、人生が変わる!”
変えてもらおうじゃないのさ。ちょうど新しい年になったばかりで、新しいこと、新しい習慣をつけるにはいいタイミング。今年の手帳の1月1日に「抱負。朝ごはんを食べる習慣をつける」としたため、えいやっと申し込んだ。

申し込んでからしばらくの後、自由大学からメールが届く。「最初の講義までの宿題として、あなたの普段の朝ごはんの写真を提出してください。食べてない人は、雰囲気で。」雰囲気かあ。結局駅でたまに飲む缶スープの写真をメールした。乗っけから不安だが。どうなる、おれの朝ごはん。
そして、いよいよ始まる朝ごはん学。第一回目の講義は「あなたにとっての理想の朝ごはん」。まずは、今の自分となりたい自分の距離を巻尺で計るところからのスタート。朝ごはんを、学ぶ?少なからず緊張感(宿題の写真があの有様だから)を持って望んだ第一回目。メンバーは10名くらいの生徒達と教授のフルタさん、キュレーター岡島さん。

フルタさんは食を中心に食器や空間、写真や文章あらゆる媒体で”素敵な生活”を提案するお仕事をされているという。片やキュレーター岡島さんもカフェのマネジメントなどを経験して今に至るという、心強い面々。講義はまずその成り立ち、「なぜ朝ごはんを学問にしたか?」というところから始まる。おお、講義っぽい。

「実は私も最初ちゃんと朝ごはんを食べていなかったのですが…」とおずおずと話始める岡島さん。あるきっかけから朝ごはんをちゃんと摂ろうと思い立ったという。そのきっかけとは、「会社来ていきなりパンたべるの?と上司に言われてしまいまして。」そこからイケてる人になりたい!習慣にしたい!と思ったそうだ。なんだか怖い思いがなくなった気がする。誰にでも初めてがあるのだ。
そして朝ごはんを欠かしたことがないというフルタ教授。「遅刻してでも食べる」の発言にみなが「ワイルド…」と目をハートにしたことは言うまでもない。しかしそんなフルタ教授も、「でも朝は弱いです」という。朝弱い、眠いは朝ごはんを食べない理由にはならないのだと、朝ごはんを欠かしたことのない人だからこその説得力。しかしこうも続く。

「というか朝ごはんが楽しみで起きます」

また自分にはない新しい価値観だ。おもしろい。次の日が楽しみで寝るなんて、身体にも心にもいいに決まっている。朝ごはんでそういう風なこともできるのか。知識をたくさん持っているよりも、そのことが大好きな人に教わる学問はきっと幸せで有意義だろう。その点でも、まさに適任な教授である。
講義は自己紹介を兼ねて今の朝ごはんスタイルと、理想のスタイル、そしてそのためにはというグループワークへ。参加している人の朝ごはんはそれこそ十人十色で、食べる習慣のない人、食べるけどもっと楽しい朝にしたいという人、健康のためという人、ダイエットがしたいという人と本当に様々だ。わいわいディスカッションを進めていき、たどり着いた共通する全員へのヒントは、

・前日に朝ごはんの準備をしておこう
・facebookでみんなの知や経験を共有しよう

ということだった。
朝は眠いから前日準備をしておく。ひとりだと続かないから、みんなでアイデアを出し合う。それはタイムマネジメントということであり、シェアという今当然に注目される考え方だ。難しい取り組みをしなくても、朝ごはんを食べるだけで今の世の中を掴んでいける。そういう風にも受け取れるんじゃないだろうか。ちなみにワークシートにあった「あなたにとっての朝ごはんは?」と「あなたにとって理想の朝ごはんは?」に対する自分の答えはそれぞれ、「食べていません。あたりまえに朝ごはんを食べている人がまぶしいです。」「一日のスイッチを入れてくれるもの。リズムを作ってくれるもの。」と書いた。さて、それがどう変わっていくのだろう。

座学だけではないのが朝ごはん学である。何せ朝ごはんだ。じいやが朝ごはんを持ってきてくれる人以外は基本的に自分で自分の朝ごはんをこさえなければならない。でも時間がない。その壁がある。
そこでフルタさんが考えてくれたのが6分でできる朝ごはん。
カップラーメン2個などではもちろんなく、おむすび(フルタさんがにぎってくれた)、目玉焼きにソーセージプチトマト添え、味噌汁にデザートのうまいジャム(フルタさんの手作り。超うまい。)乗せヨーグルトとこれで6分である。

実習はフルタさんのデモンストレーションの後に全員が一通りを作ってみるというストロングスタイル。でも、それが大切だしうれしい。習慣にするということは、手が、体が覚えるということだ。慌しい朝ならなおのこと。
ひとりずつ作り、全員でその手順を確認する。見る、というのもとても良い経験になる。10人いればシミュレーションを10回。10日分の朝ごはんを作る練習ができたことになる。もしこれが「みなさん作ってくださーい」とスタートし、全体を先生が見て周るのでは意味がなかっただろう。
さて、皆の実習ぶりはと言うと、そのメニューを6分では…と思っていたらあら以外、皆5分程度でできてしまった。4分半で作った猛者もいたぐらい。でもそれにはやっぱりコツがあった。

①ソーセージを焼く(フタをする)
②焼きつつ、味噌汁の湯を沸かす(フタをする)
③沸かしつつ、目玉焼きの卵を落とす(フタをする)
④味噌汁のほうれん草をちぎって入れる
⑤味噌を入れ、火を止める
⑥トマトをフライパンに入れて温める
⑦用意してあった食器に盛り付け
お分かりだろうか。全てフタをする、~しつつ、あらかじめ用意してある、余計な道具は使わない(包丁は使ってない!)、という時間効率が実に考えられた動きになっている。考えられた無駄のない動き、それはまるで、踊るような朝ごはん作りだ。そして、食器や食材をそろえておくことも大切だという。確かに朝ねぼけている中での台所ウロウロ率は相当なものであろう。
下ごしらえをしておくことは、次の日に朝ごはんを作るモチベーションにもなるという。先に下ごしらえした食材が目の前にあれば作ろうという気になるというもの。考えてみれば、世の朝ごはんを食べている全ての人がこうした段取りを知らず知らずの内にやっているのだ。毎日のように。踊るように。みんな朝にダンスを踊っていると思うと、それだけで朝ごはんが楽しい気分だ。
段取りを丁寧に踏むこと。手を動かすこと。そういったことを楽しく学べた第二回であった。目玉焼きを焼きながら、ぽつりと言ったフルタさんの言葉がリフレインする。

「おむすびだと、なんかうれしい」
良い言葉もしっかりメモして、第二回はおしまい。
続き後半のレポートはコチラ

 



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