講義レポート

他者を比較することで自分自身を知る

「クリエイティブ都市学-Stockholm」講義レポート

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こんにちは、「クリエイティブ都市学」キュレーターの小柴です。
クリエイティブ都市学」の第二弾、ストックホルム編が、先日無事に終了しました。
ゲスト5名のうち4名はスウェーデンの方をお呼びし、講義は英語と日本語でのディスカッション方式で講義を展開しました。スウェーデンといえば、福祉や環境、そしてデザインの国。ストックホルムはその中心に位置するイメージです。
ゲストそれぞれに、自分と街の関係やクリエイティブ都市の要素について、そして900万人の人口の国がなぜここまで世界にプレゼンスを示すことのできる状況を作っているのかについて話していただきました。また、第4回目の講義では、スウェーデン大使館でのイベント「Sweden Day in Tokyo 2012」に参加し、スウェーデンを体感するということも行いました。

今回非常に面白かったのは、受講者がゲストの話をただただ聞くのではなく、随所随所で質問がたくさんでてきたことです。それによって、ゲストの話や受講者の考えがさらに深まる瞬間を度々見ることができました。
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いくつかトピックにあがったことを取り上げます。
「Happy to pay tax」
所得に対して30%の税率、さらに累進課税によって稼いだひとほど税を支払うという仕組み。それに対する国民の大半の反応がこれだそうです。つまり、それだけ納税者が、納税分社会システムの恩恵を受けている証です。失業や育児の補助もしっかりしているため、怠ける人も出てくる反面、セイフティーネットが確立しているため、失敗してもやり直せる環境にあるといえるのかもしれません。
「答えを求めない教育」
大学は高校の成績次第ということと、もし成績がいまいちでも別に一発試験が用意されていてそれで良い点をとれば入ることができるそうです。また、教育方法も詰め込みではなく、答えは1つではないことが前提に自分はどう考えるが重視されるといいます。受講生の1人が、それを聞いて「コンテクストを考えて行動するという基盤が作られることが、クリエイティビティ形成に非常に大きな影響を与えているのではないか」という感想を述べていましたが、まさにこのことは1つの大事なポイントではないかと思いました。さらには、学びたくなれば大学にいけばいい、という考えのもと、大学生だから18歳から22歳ではなく、幅広い年齢層の学生によって大学が成り立っているという話もとても印象に残りました。
「自然とのつながりを大切にする生活」
ストックホルムの街は自然との接触が密接にあります。周りには群島があり、森や湖があります。都会に住みつつも、自然との距離感が近いことで、生活における多くのインスピレーションを自然から得ることができる、とあるゲストは話していました。働く時間もいかに早く終わらせて自分の時間を持つかが重用しされ、その分自然との交流の時間が多くなるといいます。北欧の豊かさ、と言われる1つはこの視点にあるように感じました。
「働くために生きるのではなく」
これは、社会福祉や教育、自然との関係にもつながってきますが、流されずに生きるということを非常に重視しています。自分にとってやりたいことはなにか、そのために何をするのか、ということをしっかりと考えて生活を送る姿勢が各ゲストの方から強く感じられたことです。受講生もこの姿勢に大きく刺激を受けました。

クリエイティブ都市学ストックホルム編

東京とストックホルムや他の都市との比較をして、さらに自分たちの経験とも照らし合わせながら、多いにディスカッションをすることができ、クリエイティブクラス、クリエイティブ都市に対する考えが、受講前よりも鮮明になってきたように感じます。
さて、この夏には現地ストックホルムに赴きます。ここで受講生が何を感じて、どのような行動をしていくのか、今から楽しみです。これを読んだ方でストックホルム留学にご関心ある方はぜひ一緒にいきましょう!

 

 

 



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