クリエイティブマインド、クリエイティブクラス、クリエイティブ都市 part1
創造的で革新的な知的労働者クリエイティブクラスが次々と生まれている都市はどのようなところなのか前回のポートランドへの旅とストックホルムを比較を交えながら、考えていきます。
北欧都市ストックホルムにクリエイティブを探る
世界の危機を乗り越えるのは、最近勃興しつつ有る創造階級(Creative Class)という人々によると言われています。それらの人々は自由を尊び、新しいアイデアや技術コンテンツの創造を通し、社会を牽引し始めています。そんな人々を育てる創造都市Creative Cityと呼ばれる都市環境はどのようなものから成り立っているのでしょうか。美味しいレストランがあり、インスピレーションを刺激する環境があり、グリーンでデザイン性に溢れた都市はどのように創られていったのでしょうか。
アート、デザイン、農業、自転車、グリーンな環境と情報発信、クリエイティブクラスを生み出す要因は何なのか?自由大学ではクリエイティブ都市論を展開し、そのヒントを世界有数のクリエイティブ都市の数々に学びます。そして実際に旅を通じて実習する機会を作ります。私たちは、3月にポートランド編として講義と実際にポートランドへDYIの旅を開催しました。今回はそのストックホルム編です。
福祉の国、男女平等の国(女性の労働参加率スウェーデン76%、日本48%)、移民受け入れ国といわれるスウェーデン。その首都であるストックホルムは、全体の10%が水に囲まれ人口約82万人、面積約209㎢と、東京の人口約1300万人、面積約2200㎢に対して小さな規模の都市です。
しかし、そこは世界的権威のあるノーベル賞開催都市であり、北欧デザインのメイン都市の1つでもあります。さらに皆さんのご存知の企業VOLVOやSAABといった自動車企業、欧州第2位の家電メーカーのエレクトロラックス、そしてH&M、IKEAなどが成長した都市です。また、ABBAやカーディガンズといった音楽もここから生まれています。そして同市は、2010年には初代欧州グリーン都市を受賞し、2050年までに化石燃料を撤廃するという高い目標を掲げ、環境負荷の低い都市づくりに取り組んでいます。さて、この都市のクリエイティブである所以はどこにあるのでしょうか?
今回は通常の講義に加え、課外講義として、6月2日3日に開催されるスウェーデン大使館でスウェーデンの建国記念日とスウェーデン商工会議所(SCCJ)創立20周年イベント「SWEDEN DAY2012」への準備ボランティアやイベント参加を予定しています。これらの講義を通じて、深くクリエイティブ都市の要因を探っていきます。そして夏にはストックホルムに旅に出ましょう!
従来の富裕層対貧困層、資本家対労働者といった枠組みに収まらない新たな社会的、経済的階層。文化的な多様性と寛容性に富む自由な環境を好み「クリエイティブ」な価値観に沿って行動する、創造的で革新的な知識労働者を指す。こうしたクリエイティブクラスは従来の職業区分を横断して存在し、世界的な産業構造の変化の中で、その生産活動と消費活動を通して新たな経済発展の原動力となっている。アメリカでは国内労働人口の約30%を占め、その平均年収は48,762ドル(全米平均31,571ドル)に及ぶ。(1999, Occupational Employment Statistics Survey, Bureau of Labor Statistics, Department of Labor)クリエイティブクラスが多く集まる都市には、Technology(技術), Talent(才能), Tolerance(寛容)をキーワードに、ハイテクノロジー、IT、金融、アート、デザインなどの高付加価値産業が集積するという共通点がある。
第1回
創造的で革新的な知的労働者クリエイティブクラスが次々と生まれている都市はどのようなところなのか前回のポートランドへの旅とストックホルムを比較を交えながら、考えていきます。
第2回
ストックホルムとの関わりのある方をお招きして、生活、仕事、カルチャーなどpart1をさらに深堀りすることで、そこに住む人々のクリエイティブマインドに迫ります。
第3回
ドイツ出身でストックホルムに移住したデザイナーのKatrin Greilingさんをお招きして実際にドイツから移住して感じること、考えることは何か、彼女が考えるクリエイティブ都市についても考えをシェアしていきます。
第4回
スウェーデン大使館でのイベントに主体的に参加し、スウェーデンそしてストックホルムの雰囲気を体感することや人々との出会いを通じて、自分の五感でクリエイティブ都市の要素を探ります。
第5回
これまでの講義を通じて感じたこと、考えたことをシェアし、これからの東京や世界都市について考えてみましょう。そして夏にストックホルムに行く計画を一緒に立てましょう!