講義レポート

True Entrepreneur

Culture Entrepreneurとは?

カルチャープレナーとは?

僕は月の半分の時間を旅に使う。
今何が世界で起こっているのか?俯瞰しながら、そこで起こっている状況を紡いで仕事を作っていく。
例えば、先月は北欧
3国、バルト3国、そしてドイツを14日間で駆け回った。スポンサーが毎回つく出張とは違い、宿探し一つをとっても次の目的地へのコネクティビティ(接続性)やコストパフォーマンス、そして、なによりもその土地の文脈を理解した人物に出会える隠れた名店へのパスポートを宿の主から手渡されることを最大の報酬としているので、気が抜けない。
「つかれる旅ね?」なんて言われると、僕はいつも「移動の距離が、思考の幅である」と尊敬するある人の名言を口にして逃げることにしている。僕が10年間ほぼ移動をしながら培ってきた知恵を少しだけ体系化し、新旅学として自由大学の講座としてみなさんにも共有したいと思う。

さて、今回のテーマは実は旅ではない。

世界のマチカドというマチカドでいままでそこになかった価値を長い年月をかけて生み出し続けている創造者たち、別名カルチュラルプレナーと名付けた人々の話。


まず得体の知れないカルチャープレナーとは何者か?

そもそも、この造語はカルチャー・アントレプレナーつまり文化起業家という言葉から生み出されている。
特段こういったくくりでどこかのメディアが新種の起業家としてもてはやしている記憶も記録もない。彼らの判断材料の軸にそこにマーケットがあるだとか、ましてやトレンドをつくろうなんて野心もない。自分たちの直感とセンス、嗜好性をふんだんにクラフトしていきながら、時に多額のお金と年月をかけて新しい文化を作ることに余念がない人たち。彼らには常に人々を魅了する目的があって、その目的の先を見たいと思えるストーリーが存在する。人々はその話に魅了されて関わりを持ちたいと強く思うようになる。すると自然とコミュニティが生まれ、共同体としての強いつながりを保持する。

先日スタンフォードのMBAを取得して帰ってきた友人がこういった。おそらく世界でも有数のトップスクールが教えること。それは自分らしさとストーリーテリングの重要性。そして、夢を実現する技術への理解。この3点である。もともとウォール・ストリートなどの金融街にいたような連中が西側で日差しを浴びながらチェンジ(変化)の中心となるべく創造性を磨くという時代とカルチャープレナーの出現には親和性を感じた。

また、文化を起こすことの重要性を僕の場合は旅が教えてくれた。これは僕が旅を通じて得た感想である。少々感情的な内容となっているが、これが世界の現実でもあるのでぜひ共有したい。

「国を跨ぐ旅路の途中、ふと気付いたことがあった。肌の色も、宗教も価値観も違った人々がご近所付き合いをしている。居酒屋で世間話をし、博打や井戸端会議に花を咲かせていた。異様な結束感と心地よさそうな空気、この二つが醸し出されている。国境も境界も古いドグマでしかなく、それらを取り除いて解像度の高い目の前の町並みを見渡すと、そこには文化しかなかった。歩いてきた世界には文化でしか括りきれない多様な生活空間が存在する。文化について考えてみよう。文化とは個人の態度や振る舞いが連鎖して堆積した共通善であり、広くいえばこれって正しいよねという無意識に同意している生き方=ライフスタイルとも言い換えられる。」

その地域ならではの文化を可視化かせていく人たちとはどんな人たちなのか?

次回のコラムでカルチャープレナーの肖像に少し触れていきたいと思う。

本村拓人さんがキュレーションしている講義

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