私は「自由大学」で行われる講義の中で、特に「食」に関わるものを中心に受講してきました。「気軽に手軽」に、著名な教授の講義を受けられること、同じ目的を持ったあらゆる年代の人々が集う学びの場、つながり広がる「貴重な機会が得られる場」ということが、自由大学の魅力です。
3年前に仕事中心の生活から、自分の人生中心の生活に切り替え、同時に「お腹を満たす食」から「心を満たす食」へと考え方が変わり、そこから「食」に関する学びへの挑戦が始まりました。ちょうど他の講義が終了し、新たな講義を探していたところで「乾物のある生活」に出会いました。
正直、最近になって食生活を意識し始めたという状況。「乾物」といえば煮物など和食や年配の方が食するイメージ。古くさい・時間と手間がかかる・扱いが難しい・地味・おばあちゃんの味・・・
ましてや日々の生活で登場する出番もなく、馴染みもなく、活用するにはかなり「ハードルの高い食材」。講義の内容や過去の卒業生レポートなどを見ているうちに、自分の中の「乾物」のイメージをどこまで変えられるのか・・・半信半疑のまま「乾物ワールド」に足を踏み入れる決心をしました。
講義第1回目のテーマ「先入観をなくし、乾物の豊かな世界を感じよう!」
私の「乾物」に対するイメージは一気に崩れました。
「乾物」とは食べ物から水分を抜き、常温で保存できるもの・・・
頭ではわかっていてもその意味について深く考えたことはありませんでした。
冷蔵不要、軽くて買い物も運搬もラクラク、栄養価が高くうまみが凝縮、世界中の食材が楽しめる・・・
軽くて簡単に運べたらCO2削減にもなるし、飢えで苦しむ人を救えるかもしれない、環境を守ることができるもしれない、廃棄している食材を乾物にすることで、無駄を減らし、新たな産業やビジネスを生み出せるかもしれない・・・
初回から思ってもみなかった講義内容と発想にとても感動し、「乾物ワールド」への興味は深まるばかり。世界中にもいろいろな乾物があることを知り、その土地の風土や文化、生活に根付いた奥深い食材であることを思い知らされました。
その後「野菜&果物」・「豆・穀物&粉」、「海産物」など、様々なジャンルの「乾物」を「見て・食べて・嗅いで・聞いて・触る」といった「五感」をフル活用する講義が続きます。
5回の講義中、ご紹介いただけるレシピも楽しみの1つです。初回の「乾物パスタ」から始まり、毎回驚きと目からウロコのレシピばかり!今までの乾物料理のイメージは全く感じさせない新しい「乾物レシピ」の数々・・・洋風・エスニック風・おつまみ・デザート・おもてなし料理などに大変身!何にでも応用できる「乾物」に無限の可能性を感じました。
また講義中に行われるデモンストレーションでは実際の調理のプロセスを通じて、「乾物」は思っていたより身近で手間がかからず、簡単に使える食材であるということも実感できました。
帰宅後、着替えたり、メイクを落としている間に下準備ができたり、料理ができたり・・・光熱費を抑え、時短になること、食材が腐ることなく、保存も簡単、ヘルシーでおいしい!など、いろいろなメリットが詰まっている「乾物」を使わない手はない!と心から思うようになり、講義を重ねるごとに自分でいろいろな料理にトライするようになってきました。
挑戦した料理や珍しい乾物などなど、様々な情報をfacebookに投稿し共有する「宿題」。
実際手に取り、料理してみたりと、「乾物」に向き合った時間があったからこそ、それぞれの「乾物」について学ぶきっかけが増え、個人的にはとても楽しく有意義な「乾物Time」を過ごすことができました。投稿した内容についても、教授や仲間からコメントやアドバイスがとても励みにもなり、知識が広がったような気がしています。
この講義を通じ、「苦手で遠い存在」の「乾物」は「近くて頼もしい存在」になりました。
初めに思っていた「乾物」のイメージは180度変わりました。
「古い」「おばあちゃん」とマイナスなイメージに思っていたキーワードは、「乾物」がどんなにいろいろな料理に姿を変えても、口にした時、どこか懐かしく「ホッと」するような温かくやさしい味がするので、プラスのイメージに変わりました。
そして多くの可能性を秘めた、素晴らしい食材であることに気づかされました。
私の「乾物のある生活」はスタートを切ったばかり・・・今後もずっと続きます。
そして今回出会った14期の同期の皆さんと「乾物」について学んだり、レシピを考えたり・・・自分たちなりに何かできないか・・・とあれこれ相談しながらワクワクしていているところです。
最後まで仲間と楽しく学ぶことができたのも、サカイ優佳子教授・田平恵美教授、お2人の明るくユニークな講義と、講義や受講生をフォローしてくださるキュレーターの小笠原さんのおかげだと思っています。本当にありがとうございました。今後も素敵な活動をされている皆様を応援していきたいと思っています。
(text: 14期卒業生 川田亜矢)