講義レポート

生き方を豊かにする働き方

「Creative Camp in ポートランド2015」参加者レポート

今年の夏で4回目を迎える「Creative Camp in ポートランド」。去年参加した原口さんは、何がポートランドの自由な雰囲気、心地よさを生んでいるのだろう? を探るため、働き方を切り口にしたレポートを書いてくれました。


■インタビューにいった訪問先:
THE Good ModMAAK LABOMFGCOQUINTanner GoodsNIKEJohn C Jay studioThe Side Yard Farm

【Portlandの働き方①】好きなことを情熱をもってやる+どうやって価値を認めてもらうかにクリエイティビティを発揮する。

どの訪問先でも自分の好きなことを、できることからやってみるという姿勢に共感しました。中でも Portlandでキャンディを製造するQUIN のオーナーの一言、「自分が好きでやりたいことをやる事と、他人が気に入るかや意見を聞くかは 9:1ね」に、それを情熱と言うのだな、としみじみ感じ入りました。地元素材を使うコンセプトに絞り込み、飴というシンプルな工程で完成する商品に落とし込む。食料品店だけでなく美術館のショップやブティックで取扱ってもらうために、コンセプトの発信からパッケージまで、DIY精神で納得できるまでとことん自分でやる。情熱をもって好きなモノを作り、それを続けるために「どうやって価値を認めてもらうか」にクリエイティビティを発揮させていました。

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【Portlandの働き方②】

暮らしの中に仕事がある
OMFGCO のジェレミーがツアーメンバーからの質問に、シンプルに答えました。「なぜ最新の情報に触れやすいニューヨーク等の他の都市ではなくポートランドを選んだのですか?」 「自分が心地よいと感じるところに友人や家族と住みたいから。情報には触れようと思えば他に方法がある。」 ここでも自分の欲求を大切にすることがベースになっています。

仕事以外の時間もきちんととり、生活のあらゆることからインスピレーションを得て人 生を豊かにすることは、John C Jay も大切にしていました。多様なインプットをする結果、 効率と質の両方が上がり、またインプットの時間が増える、というよいスパイラルが生まれていく、と私たちに語ってくれました。

【Portlandの働き方③】多様性を確保するしくみをもつ
ダイバーシティ (多様性) の観点で参考になったのは、OMFGCO のスタッフが 18 時頃に全員帰るということです。この「全員」というわかりやすさと公平さが「育児中のママの短時間勤務をどう解決するか」といった日本にありがちな課題を、課題ですらなくしていました。Tanner Goods での職人の超絶技巧を必要としないけれど、高品質な製品づくりにプライドを持って取り組める構造も、従業員が今できることで貢献することを後押ししています。しくみを持つことで職場も硬直化せずに多様性を保つことができます。

ポートランドの自由でチャレンジしやすい雰囲気は、どこから来るのか。それはヒッピーたちが移住してきた歴史や地形、消費税がなくニューヨークやサンフランシスコと比べてリビングコストが低いこと以外に、「生き方を豊かにする働き方」をみんなが選んでいること、が大きく関係しているように思いました。

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<これから始まる自分自身のチャレンジ>

私は子どもや食に関わる仕事をしたいなと思いながら、その責任を思って資格や実績にこだわり、自分にできないことばかりに囚われていたことに気づかされました。QUINではオーナーが子供のクラスメイトを招いてキャンディ製作からパッケージングまで一緒に作って喜ばれ、ローカルのローラは観光客に地元の料理を作ることの他に、月に一度キッズクラスを持っています。彼女たちに特別な資格が必要とは思いません。既存のイメージをベースに考えるために視野が狭くなっていることを自覚しました。自分が思う「べき」レベルを追求するのではなく、アイデアを人に受け入れてもらうために、相手が求めていることにどうアプローチするか、にクリエイティビティを発揮していきたいと強く感じました。

これからも正解はないんだと自分を揺らして change a little bit を続けていきたいと思っています。



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