講義レポート

視点を階段2飛び分くらい上げてみる

「CREATIVE CAMP in ポートランド2015」参加者レポート

今年の夏で4回目を迎える「Creative Camp in ポートランド」。昨年は40名近い参加がありました。今回レポートを書いてくれた福田邦久さんは、街づくりや地域を盛り上げていくための土地活用について興味をもっていました。キャンプに参加したことで「視点の変化」が起こったと語ってくれた福田さん。どんな変化があったのでしょう。


私がキャンプに参加したのは、ポートランドのまちづくりの思想を追求してみたいという思いからでした。
キャンプが始まって数日すると、徐々にポートランドの街に馴染んでいくにつれ、皆が口を揃えて言う 「ポートランドっていいよね。」という感覚が自分の中にも芽生えてきました。ガイドブックにある数々のレストランやカフェ、その他古くてもかっこいい施設。そこで働く人間的に魅力ある人々。 街に目を向ければ、道路にはガードレール、電柱および電線は見当たりませんし、1ブロックの距離は事前に噂に聞いていた通り、人に優しい長さに設計され、さらに歩道は広くとても歩き易いです。食事はどこも間違いなく美味しいです。

しかし表面的にいいだけではなく、言葉では言い表しにくい開放感を街全体から感じました。そこで私の心の奥から湧き出てきた疑問は、「この魅力的な街ポートランドはどのようにして生まれてきたのか?」という問いです。そしてその疑問は「日本ではなぜできないのか? 自分には何ができるのか?」と変化しながら自分自身に問いかけていくようになっていきました。

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ポートランドでは視点を広げる機会に恵まれます。例えば、普段日本において私たちの生活で “良い”とされている制度・習慣 、 ー例えばルールを守る事や、他人に迷惑をかけない事などーが反対に“足かせ”になっている事がないだろうか、と考えるようになりました。今までの概念をひっくり返すポートランドの街づくりの思想に今回触れることができ、日本の街づくりについての発想が広がったように思います。

多様性を認め合う事こそがこの街を形作っているすべての根幹だと私は感じています。行政から市民、店主およびホームレスまでもがお互いを尊重し認めあっているのです。それはPDXの歴史を見てもわかる事です。それがここ 30年で積極的な市民の行政参加、また行政側の市民およびNPOへの柔軟な対応、市民一人一人の環境への意識、などの好循環の伝染を起こし続けています。

キャンプを経験してからは、いままでおかしいとも思わなかった日本における様々なことについて違和感をおぼえるようになりました。例えば 街にあふれる「***禁止」、「***をしてはダメ」、「非常識」という看板や言葉にはされない認識。これらはおそらく「お互いがお互いを尊重していない」ということから来るのではないかと感じています。私がポートランドで感じた自由な雰囲気はお互いを信頼しあう=多様性が生うみだすものだったことを改めて認識しました。

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日本でそのような変化が起こるよう、まずは自分の身近なところから多様性を認める土壌をつくっていこうと思います。 ルールでがんじがらめにしないで、話し合い、信頼から生まれるゆとりある空間です。いつかまたポートランドに挑戦しようと思います。 キャンプでは様々なバックグランドをもった人たちとの出会いがありました。この出会いを今後も大切にし、キャンプで得た視点の変化を使って、違和感となっている様々な事柄について原因を探求していきたいと思っています。

 



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