DIY音楽研究室第1期のテーマは「暮らしと音楽の現場を探る」。3組のゲストの、三者三様のスタジオを訪問しました。一番初めに伺ったのは音楽家の良原リエさんのスタジオです。
良原リエさんのスタジオは、毎日の暮らしを営む家でもあります。今まで暮らしてきたいくつかの家も現在の家も、いずれもレコーディングし、リハーサルもするスタジオの役目も兼ね備えてきたというリエさん。DIYや庭づくり、料理や手作りなど、暮らしをとことん楽しむことで、さまざまな表現が生まれる場所でもあるのです。
当日は、強い日差しの照りつける中、遠足のように受講生全員でリエさんの家に向かいました。入り口では、受講生達の名前を書いた黒板がお出迎え。「おー!」っとボルテージが上がります。
部屋の中に入ると、リエさんのコレクションでもある世界中から集められたトイピアノやトイ楽器たちが勢ぞろい。
おやつをいただきながら、まずは、リエさんへ受講生3名が自己紹介をしつつ、今それぞれが考えていることなどを語ります。そして、それをふまえながら、リエさんのこれまでの音楽活動や暮らしのありかたについてお話しいただきました。
ちゃぶ台を囲みながら、ということで、受講生もリエさんご自身にも、本当にいま考えていることをとても素直に共有していただくリラックスした時間となり、まさに講義テーマそのものの「音楽とともに生きていきたい人のための暮らしかた、生き方のセッション」という感じでした。
メジャーデビューしてCDをリリースしたり、スタジオミュージシャンとしてアーティストを支えたり、本当に自分のつくりたい音楽をセルフプロデュースでつくったり、と様々な立場から音楽のお仕事に関わってきたリエさん。若い頃から今に至るまでのお話をお聞きしたのですが、どの言葉にも、現場の大変なところもしっかりと見据えながらも、あたたかく包み込むような視点を感じました。
まだ音楽の仕事だけではお金があまり稼げなかった時期に、楽しく工夫しながらDIYな生活をしていたことが積もり重なって、今では、アノニマスタジオのサイトでの食べられる庭についての連載をはじめ、音楽だけではなく衣食住+子育てなどなど、暮らし全般にわたって活動されてるリエさん。
スタジオには、そんなリエさんの大切にしていることがあちこちに詰まっていて、言葉以外の形でも、すーっと体の中に染み込んできます。
途中、お庭を案内してもらったり、楽器を自由に触らせていただく時間もはさみながら(どの楽器もとっても素敵な音でした!)、講義は大幅に延長してあっという間に3時間。実際にスタジオに足を運ぶことで、音楽を中心にしながら「暮らしをまるごと楽しく仕事に」というリエさんのスタイルが、ぐっと体感できる講義になりました。
(text:キュレーター 鈴木絵美里)