アートは愛と自由への渇望から生まれる。
好きな人に認められたい愛されたいという葛藤は、誰しも経験することだろう。
セクシャルマイノリティ=LGBTの人たちはその前線で常にカルチャーを彩ってきた。
古くは「ヴェーダ」にも登場するインドのヒジュラ(両性具有の神職芸能従事者)や、シカゴの黒人のゲイコミュニティからのハウスミュージックの発祥、そして近年ではドラァグクイーンとの交流の中からそのアイコン性を確立させたレディーガガなど、LGBTのコミューンがカルチャーそのものに与えた影響は計り知れない。
彼らは自らのアイデンティティを確立する過程において、ある一つの確信にいたるのだ。
自らを認め解き放つことにより、少数であることは一つの大きな武器となりまた魅力になりうる、と。
私たちは大人になるプロセスで一つの選択を迫られる。自らの特性をコンプレックスとして閉じ込めるか、それとも大らかな個性として解き放つか。自らの特性を解き放ち、武器として磨いたものは、未来への扉を開きまた他者の個性を認め多様性の中で共存の糸口をさぐるだろう。
そしてその先駆者として私たちは彼らの声に今改めて耳をかたむける。自分自身のアイデンティティを抱きしめ、高らかに声を上げて愛を唄う彼らの歌声は、共存の時代に向かってひた走るこの宇宙全体の声を代弁している。
テキスト:SUGEE
クリスティーナ・アギレラが唄う「Beautiful」のミュージックビデオは、同性愛者だけではなく、トランスジェンダーやいじめにあっている人、拒食症の人などが登場し、あらゆるマイノリティに向けて共感と励ましを送っている。