講義レポート

こころに島を!

「島で暮らす」講義レポート

先日、新講義「島で暮らす」が2日間の集中講義で開催されました。その模様がキュレーターの小柴さんから届きました。


今住んでいる都会と島や田舎との2重生活、島への移住、海外と日本の行ったり来たり生活、海外と日本の田舎と日本の都会生活などなど、今の生活にプラスして拠点を持つ。これはどういうことなのでしょうか。

マンネリ化、消費生活、時間におわれる生活などなど気がつくと今の生活に縛られてしまっていることに気づきます。プラスαの拠点を持つことで、気持ちをリセット、リフレッシュすることが出来る。要は、「逃げ場」を作っておくことなのかもしれません。

さらに、その「逃げ場」は、都会と田舎という対称でなくとも、距離が問題でもなく、自分の心の中にそれを持っていることが大切なのではないでしょうか。そのような発想を持って生きることは、何か自分自身に新たな原動力が備わるような強い気持ちになれるように思います。

 

「島で暮らす」の講義は、上記の考えをもとに組み立てました。そして、公務員を辞めて、大崎上島の古民家を買って移住したルイさんを教授に迎え9月15日、16日の2日間の集中講義として開催しました。この講義の副題は「常識にとらわれない暮らしかた」です。今考えていることや今当たり前だと思っていることに対して、ルイさんやゲストの話を聞きながら、少し視点をずらしてみて見るという試みです。

受講者の参加きっかけは、「今住んでいる場所だけでない暮らしについて考えていたから、丁度フックした」とか、「いい大学、いい会社、いい生活という概念が変わってきている時期だからこそ、なにかヒントを得たい」というところで、やはり視点をずらして、何が見えて来るか非常に興味深いものとなりました。大学時代の友人が大崎上島に移住をしていて訪れたことがあったことが始まりで、古民家を買い、カフェとお土産や輸入食材を販売するantennaをオープンする、クラシックバレエ教室を主宰するなどなど、これだけを聞くと、偶然が生んだルイさんの島暮らしのように見えますが、島で何が出来るか、どのように島での存在感を出すかなど実はしっかりと練られていることも印象的でした。

東京で働いていた時の退職金で古民家を購入したので、月々のローンや家賃はかからず、お野菜や魚も頂き物もたくさん、バレエは東京だとプロが多いし教えるなんておこがましいけれど、バレエに関わったことのない方が多いところでは、子どもからお年寄りまでが楽しんでトライすることが出来るチャンスがあります。そして、世界中のWWOOF登録をしている旅人の宿泊場所としても家を提供しています。生活コストを考えてみてください。東京での暮らしに比べて、入りが少ないかもしれないけれど、出も少ないことが見えてきます。それでも、地のものを食べて、時間の余裕がある。これも1つの暮らし方です。

ゲストの中尾円さんは、大崎上島でパン屋さんを運営しています。これまで働いていたパン屋さんが大崎上島からブルーベリーを取り寄せていたのがきっかけで島のパン屋さんとして働くことに!ルイさんは、島の方にずっといるんだよね、と聞かれると「先のことはわかりません」というのに対して、円さんは「いますよー」と答える。島移住に対して、身近でもスタンスが異なるということが非常に面白く、考えさせられ、考えの違いを聞くことができたことはとても有意義でした。

さらに、ルイさんの古民家に宿泊する予定のフランス人ピエールも登場。旅するように暮らすスタイルとその考えたかたを伺うことができました。国籍はフランスですが、タイのチェンマイを最近の拠点として、旅をしています。チェンマイのアパートには段ボール1つ分の荷物しかなく、気に入った場所があれば、その荷物だけでいつでも引っ越すことができるそうです。一体お金はどうしているの?という質問が受講者からでました。「お金が欲しいと固執するとうまくいかない。お金は自分の行動のあとからついてくるんだ」と。オーストラリアに50ドルだけ持って行き、様々な出会いからレストランで働くことになり、サーフィンをしながらお金まで十分にたまったという話をしてくれました。また、欲望があるとそれに縛られて実は自由が失われることもある、という哲学的な話にまで発展。なかなかこのような生活を肯定しにくい日本社会ではとても新鮮な話だったと思います。

その合間に、受講者の方々の今とこれからどうしたいのか、少しずつ紙に書いて言葉にしていきました。視点をちょっとずらしてみるだけで、そしてたった2日間で皆の物事に対する受け止め方が変化する。これは面白いことです。「常識にとらわれない暮らしかた」という副題ですが、そもそも常識とはなにか、これから受講したみなさんの動きに注目です。

そして、11月10、11日には実際に皆で大崎上島に行きます!いつ行っても人のいないビーチに行く、ルイさんのお店antennaでの人間観察をする、古民家リノベーションを手伝ってみる、453mの神峰山に登る、受講者宮澤さんによるヨガクラス、夕飯の食材を釣る、ルイさんのクラシックバレエ教室などなど刺激的なこと間違いなしです。もしご興味のある方はぜひご一緒しましょう!!



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