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こんにちは、「乾物のある生活」キュレーターの白井です。5月18日に「乾物のある生活」教授のサカイ優佳子さん、田平恵美さんの新著「乾物EveryDay」が発売されました。

「乾物(かんぶつ)といえば?」と聞かれて、すぐに思い浮かべるのは、切り干し大根、ひじき、高野豆腐などではありませんか? 全体的に茶色っぽくて、おばあちゃんの味的なイメージ。しかし、「乾物のある生活」の講義では、乾物の定義を拡大解釈して「太陽の光と風の力によって水分を飛ばし乾燥させ、保存しやすく、より美味しくいただけるように工夫を凝らした食材」としています。


だから、干し野菜もナッツもドライフルーツもパスタも、みんな乾物。講義中に行う試食も、和食だけでなく世界各国の乾物を使いながら色彩豊かなメニューが揃います。新著「乾物EveryDay」にも講義で試作したメニューもちらほら。定番メニューである「乾物のうま味たっぷりスープ」や「発芽豆の塩炒め」も載ってます。
お二人が昨年からDRY食材(=冷蔵庫を使わずに保存できる食材)の手軽でおいしい楽しみ方の提案「DRY & PEACE」の活動を初めてから、ちょうど1年。周囲の反応はだんだんと変わってきているようです。
サカイさん(写真左)「やっぱり震災をキッカケに、自分が食べるものの由来を意識したり、食材を無駄なく使いきろうという人たちが増えたように思います。そんな人たちが乾物に興味を示してくれているんですよね。自由大学の講義でも『料理をほとんどしたことはありませんが、乾物なら簡単にできそうな気がして』と受講してくれた男性もいました。」
田平さん(写真右)「『DRY & PEACE』と名付けたことで、乾物のイメージを大きく広げられたこともわかりやすかったのだと思います。乾物料理というと、乾物だけで一品作らなきゃと思っている人が思いのほか多くて、びっくりしました。打ち豆やレンズ豆のように戻しが不要な豆も多くありますし、庄内麩やスライスした干ししいたけなど、そのままスープの具として使えるものも多くあるんですよ。」

新著「乾物EveryDay」の巻末には、「乾物のある生活」受講生にはおなじみの「乾物戻し時間グラフ」が掲載されています。戻すのに時間がかかると思われがちな乾物も、実は10~20分もあればすぐ使えるものがほとんど。夜、家に帰ってきたらすぐに乾物を戻してしまえば、着替え終わったころにはすぐに料理をつくることができますね。戻すのに7~8時間ぐらいかかる昆布や干ししいたけも、朝会社にでかける時に準備しておけば、帰ってきたころには準備完了です。
サカイさん「乾物を戻す準備なんて、ほんの数分。戻している間は自由時間なので、乾物のある生活を始めると、“自分の一日の時間をどう使うか”を考えるようになって、自然と段取り上手になるんです。」
また、自分で簡単に作れるの乾物の魅力。料理であまった野菜を小さく切り分けて天日に干せば、干し野菜ができあがります。
田平さん「ゴーヤを厚さ1cmぐらいに切って天日に干せば、夏場なら2日ぐらいで乾物になります。日当たりの良い窓辺に置くなどの工夫をすれば、屋内でも乾物づくりを楽しめますよ。天日干しをはじめると、やっぱり天気が重要ですから、空を見上げる機会が増えますね。干し野菜を作りながら、季節の移ろいを感じるのもよいものですよ。
今後の展望は?とたずねると「ゾロ目の日を”DRY & PEACEの日”にしたい」と答えるおふたり。実は日本人が一番乾物を食べるのはお正月、1月1日なんだとか。であれば、お正月だけでなく、たとえば、2月2日は”大豆の日”、7月7日は”ドライドトマトの日”のように、乾物のある生活をより日常的なものにしていきたいとおっしゃってました。
6月からの学部再編で「乾物のある生活」は「丁寧に暮らす学部」となります。「自分の食べるものが自分をつくる(What you eat is what you are.)」とよく言われますが、普段何気なく食べているもののなかにも、変化のキッカケはたくさんあります。乾物もそのひとつ。”古臭くて面倒なもの”という価値観をひっくり返し、新たな魅力を再発見する。一見地味に思える講義ですが、自由大学らしい講義のひとつだと思います。


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【講義データ】
乾物のある生活」第5期申込受付中
日程:5/30(水)、6/6(水)、6/13(水)、6/20(水)、6/27(水)
水曜日 19:30~21:00
受講料:28,000円
教授:サカイ優佳子+田平恵美
キュレーター:白井順一


カテゴリ: ☞ コラム


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