ブログ

けいちゃん(小林圭子)|FLY_40

自由になるための旅の途中。

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。


12435614_891178544329903_2116237708_n

けいちゃん(小林圭子| 旅人 世界旅行中)自由大学では「伝わる文章学」「自分の本を作る方法」「旅学(現・自由になる旅学)」「フェスティバルをつくろう」を受講後、「ワールド宗教学」のキュレーターに着任。2013年には自由大学祭の実行委員も務める。2014年4月、仕事を辞め世界一周旅行に飛び立つ。世界旅行中に一時帰国したけいちゃんに旅のこれまでとこれからを教えてもらいました。


Q.自由大学を受講したきっかけは?

会社員の時はキャリア志向が強かったんだけど、仕事に慣れてくると仕事の外に興味が向いてきたんです。何か学びたいなと思っていた時に見つけたフリーペーパーで自由大学を知りました。日常の中に旅を取り入れるというフレーズに惹かれて「旅学」を受講しました。

Q.自由大学で学んでよかったことは?

旅学の同期女子7人がとっても楽しくて、会社とは違う自分の居場所ができた感じが特にうれしかったです。お互いに言いたいことを言い合える友達はとても貴重な存在です。

Q.今まさに世界旅行の真最中のけいちゃんですが、旅のきっかけは?

きっかけは、突然としか言いようがないんです。一人で自由が丘を歩いている時に、ふと世界一周旅行に出ようかなと思いついてしまった。一週間たっても気持ちが変わらなくて、これは、もう旅に出るしかないなと。

12434489_891178520996572_1598470902_n

Q.ふと世界旅行を思いついて旅にでるってすごい行動力。35ヶ国回って印象に残った場所はありますか?

好きな場所の順位を決めるのは難しいな。でも、淡々と観光している場所より、人と出逢った場所の方が印象に残っていますね。どこに行くかよりも誰と出逢うかの方が大切なのかなと思います。今はドミトリーやゲストハウスに泊まることも多いので人との出会いは日本にいた時よりも多いかも。初めて出会う人との暮らしを案外楽しめている自分に驚いています。ただ、自分のペースを崩されることは苦手みたい。

現地の人も、同じ日本人の方とも出逢いは大切だけれど、自分に無理のない距離感でコミュニケーションをとっている感じですね。

Q.無理のない距離感というのが長い旅の中では重要ですか?

そうですね。現地の人と話したいと思って積極的に話すこともあるけど、ちょっと自分が疲れているなと思ったらまた一人になる。自分自身で無理のない環境を作るようになりました。日本にいた時は他人の目を気にしすぎていたのかもしれません。今は、人に合わせるのではなく、自分がどうしたいのかを大切にするようになりました。

12431723_891178510996573_182098933_n

外国の方は「圭子はどうしたい?どう思う?」という質問が多いんです。自然と自分の意見を求められる。好きとか嫌いとか、やりたくないとか、自分の主張がないと誤解されてしまうこともあるし、話が始まらない。最初はパッと答えられなかったのですが自然と自分の気持ちを素直に話せるようになりました。

Q.好き嫌いをはっきりさせたり、自分の意見を持つと、自分がどういう人か輪郭がはっきりしてくるんじゃないですか?

自分がこういう人だったんだと多くの気づきがありますよ。実は、世界旅行に出発した時は「世界中の人に仕事についてのインタビューをする」と目的を決めていたんです。ところが、旅が始まってからインタビューしなければという思いが強すぎて旅を楽しめなくなっていた。できると思っていたことができないことの葛藤と、自分自身へのがっかり感も大きくて落ち込んだ時もありました。私ってこんなこともできないのかって。

でも、それが今の自分だし。自分は自分でいいじゃんと許せるようになったんですね。
3,4ヶ月たった時点で、目的を一度外に置くことにした。今の時点では、私にとって旅は自分を知るための気づきを得る時期と思っています。

会社を辞めてまで旅にでるという、人とちょっと違う道を選ぶと、「何のために?」「何の目的があるの?」とよく聞かれたんですね。今思うと、質問に対して目的を話せなければならないと思い込んでいたのかもしれません。今は目的がなくてもいいんじゃないって思うし、今は分からないけどこれから目的が分かるようになるかもしれないと思っているので。

目的って必要な時もあるけれど、目的ばかりを考えることが自分自身の素直な気持ちをごまかしちゃうこともあるのかなって。

12434252_891178610996563_1411132018_n

Q.旅がしたいから、旅をしている。好き・嫌いをはっきりさせて動くなど、自分の気持ちにまっすぐ素直に動いているんですね。

そうですね。自分の気持ちに素直に動けるようになりました。自分に素直に動いてみることは自由の第一歩なのかな。

実は、旅の最初、辛いことが多くて旅って何なの? という感覚になっていたんです。旅人同士でも暗黙のルールがあって、『旅人ってこんな人』という先入観に縛られていたんです。

旅って自由だと思っていたら、自由じゃなかった。小さいことだけど、バックパッカーは『もちろん洗濯は自分でやるでしょ、もっと節約しなきゃ』というような空気感とかね。他の旅人の目を気にしていた。それって、旅に出たのに日本にいた時と同じ状態だなって。

ルールや先入観に縛られていたらみんなが同じ旅になっちゃうよね。自分の旅なのだから、私が決めよう、私は私の旅をしようって思うようになってからとても楽になりました。

旅も人生も選択の連続だと思うんです。自分が選んだものには意味があるから、人の意見とか話を聞きすぎると動けなくなっちゃうなと思って。

旅に出たからといって自由になるものではなくて、自分に素直に、自分の選択を信じて行動することが自由につながっているんじゃないかなと思いますね。

Q.旅に出る=自由になれる、ということではないんですね。自分の思い込みや枠からはずれるきっかけがありましたか?

スウェーデンのゴットランド島に行った時に、水が苦手で泳げないんですが島の湖にパッと飛び込んでみたんです。何でそんなことしたのか、自分でも分からないんだけど。でも、泳げた。湖に私一人と水鳥、大自然の中にいるととても気持ちが良かった。

たったそれだけの出来事だったのですが、どうして今まで自分で勝手に、泳げない、水が苦手って決めつけていたのだろうって思いました。

私たちができないと思っていることの大半は、やってないからできないわけで、やってみたら意外とできることが多いと思えるようになりましたね。

Q.まだ、旅の途中ですが気持ちや行動に大きな変化があったんですね。この旅の終わりはいつになりそう?

自分でもわからない。決める必要もないのかなと思っているんです。日本の外から同世代の人たちの様子を見ていると、彼らが新しい時代を作っていってるなという感じがするんです。自分がそうなりたいということではなく、それを遠くから見ていて素直にうれしいんです。

自分が帰った時に何をするかは分からないけど、不思議と不安は特になくて。本当に何をやるんだろうって他人事みたいに思っている。できれば日本と海外を行ったりきたりできたらいいなと思っていたりするのですが。いつ旅が終わるかが自分でも楽しみです。

【編集後記】圭子さんの世界一周旅行、壮行会に出席していた私。久しぶりにあった圭子さんは、とても穏やかにふんわりした空気をまとっていました。インタビューの時も声や表情に変化が。このゆったりとした空気が自分自身の今をゆったりと楽しめている感じなのかな。鎧がはがれて自然な姿になった今、これからの圭子さんにどんな変化があるのか、予測不可能な進化が楽しみです。

(ライター:鈴木宏美)



関連するブログ