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経験をすることで広がる思考

自由大学クリエイティブチーム 岡島悦代

FREE from FREEDOM隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!今回は自由大学クリエイティブチーム 岡島悦代さんの文章です。


東京以外で「自由大学」を開校するのは大きなチャレンジ。尾道で古民家再生や尾道デニムを世界に発信するプロジェクトをされている「ディスカバーリンクせとうち」との共同作業だ。設立4年目にしてのビックプロジェクト。わくわくすると同時に東京で培った方法では上手く行かないことも痛いほど理解しているつもり。

およそ4年前、ITベンチャーで毎日パソコンに向かって仕事をしていた私は“実体のあるもの”に惹かれ、地元である沼津市でカフェを立ち上げる機会を得た。当初は企画やコンセプトを現地スタッフと共有すれば良いだろうと考えていた。開店して3日後、様子を見に現地入りするとスタッフ全員に「辞めたい」と申し出られた。1人1人に話を聞いてみると、コンセプトを託したマネージャーとスタッフの間で意思の疎通が上手く行っていなかったのだ。それに
気づいた瞬間、自分の考えが甘かったのだと考えを改め、スタッフ用のユニフォームに着替え店に立った。そして会社を辞め、2年間どっぷりとカフェの仕事をした。

自分の意識を変えたい一心で“地域とつながる仕事”という自由大学の講義を探し当てた。行動するための思想を掲げ、物事の本質にアプローチをすること。思想を実現するためのアイデアを考える。アイデアを実行する方法をフィールドワークやインタビューを通じて学んだ。講義での経験は、それまで自分が“効率化”というフレームの中にいたことに気づかされた。効率化の最大目的は生産量を上げて、収益を高めること。会社にいると売れることが評価される。

しかし地域においては、歴史や人との繋がり、割り切れない感情など複雑なものが絡み合って社会圏が形成されている。だからこそ土
地の記憶と結びついた個性のような情緒的価値が生まれるのだと思う。

今後、何度か訪れる尾道の街をできる限り歩きたい。坂道で出会った猫と遊んだり、のんびり営業しているカフェに寄り道しながら、尾道の空気を吸う。生活している人たちの暮らしぶりや、それを支えている風土や歴史、商いをしている人の思いなど丁寧に紡いで講義に反映できたら良い化学反応が生まれる気がしている。自由大学の仕組みを使って、人の喜びを創造するきっかけを生み、地元の人と笑いの絶えない場所をつくる。尾道は発見する楽しみが詰まった街だ。たくさん歩き回れるようにスニーカーを履いて出かけよう。

【text:岡島悦代 /自由大学運営チーム】
キュレーション学を卒業後、「朝ごはん学」でキュレーターデビューし、コンテンツディレクターとして自由大学の運営にも携わる。


カテゴリ: ☞ コラム


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