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A HAPPY NEW YEAR 2014「続・けもの道をゆく」

自由大学クリエイティブチーム 和泉里佳×小酒ちひろ×白井順一×岡島悦代×水澤充 座談会

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明けましておめでとうございます。
2012年の自由大学祭で作成したzineで、クリエイティブチームがどんな気持ちで自由大学をつくっているのか?自由大学に関わったきっかけなどを語った「けもの道」。その続編は、2013年のできごともふまえて、自由大学で日々学んでいることを語ってみました。今年のテーマは自由大学祭2013から引き続き「GAP YEARをつくろう!」です。

和泉:わたしは、いかに不自由だったかということを感じている。それは思考がいかに固まっているかということ。あーなんか狭かったなとか、ここまでしか考えられていなかったなとか、こんな考え方もあるんだとか、こんなことも起こるんだとか、新鮮な自由に触れて、自分が考えている範囲はすごい小さかったんだなということを学んでいるかな。

水澤:それは、自由大学5年目になるけど日々変わっていっている?

和泉:うん、どんどん、どんどん、終わりはないと思う。毎日いろんな事件が起こるし、例えば、いきなり大量の紙(20000枚以上の印刷用紙がひょんなことから池尻に送られてきた)が送られてきたりとか。そういう普通だったら起こらないことも起きたりするけど、ハプニングも楽しめたり、力にしていったり、うまく行く道があるんじゃないか、そういう考え方の鍛錬を日々しているね。これからもますます増えていくんじゃないかな。講義をやっても、受講生によって雰囲気も変われば、その時々によって時代の空気が変わってくるから、同じものだと通用しないし、面白くもないし。身体を動かして考えながら、挑戦をすることを学んでいるのかなと思う

水澤:なるほど。挑戦ということだと、今年は尾道自由大学とか、ポートランドのプログラムとか、新しいことをどんどんやってきたよね。メインで動いてきた岡島さんは、どんなことを感じた?

岡島:尾道自由大学ができて、尾道に月に一回くらい行くという縁ができて、いつもと違う場所に行けるということが面白くて、そうすると自分が普段暮らしている街が客観的に見れるようになるんだよね。比較しないと新しいことを考えるきっかけがないから、そういうチャンスをもらっていることがすごくラッキーだなと思ってる。

和泉:岡島さんは、静岡でカフェやっていたときも東京と静岡があって両方を見ていて、いまも尾道とかポートランドとか行ったり、場所を移動して離れたところからいろいろなもの見て、何かを作っていくという星のもとにいるのかな。

岡島:大学で、国際関係学というのを専攻していて、もともと文化の比較みたいなことが好きだったんだけど、社会に出てから全く活用していないし、役に立たないと思っていたんだけれど、いまここになってそれがやっと活きてきたというか。即効性はないんだけど、チャンスが巡ってきたときに活きることもあるんだなということを実感してる。

和泉:たしかに学びって、じわじわくるよね。

岡島:そう。資格を取って給料アップという方向もあるかもしれないけど、蓄積されていって、発酵というか、それがあるところに達したときにチャンスが巡ってくるのかな。

水澤:いままでやってきたことと、いまやっていることがうまくかみ合ってきた?

岡島:うん。だから、変に焦らなくていいんだろうなと思う。

水澤:違う場所にどんどん行っているからこその流れだよね。

岡島:そう、動かないと運勢は発生しないんだって(笑)家に籠って占いだけしてても運勢は良くならないというか。自分で風を起こさないとね。

水澤:僕は、新たな挑戦ということでキュレーターという立場で教授と一緒に講義を組み立てたり、いまは自由大学の本を作ったり、このzineを作ったり、いろんな人と一緒に進めて、みんながやり易い環境を考えたりと、いままであまりやってこなかったことなので、学ぶことが多い。もともとデザインの仕事で、もちろんチームでやるものもあるけど、基本的には自分が手を動かす仕事だから、作業はひとりでやるのが普通だったし。いろんな人を巻きこんでいくことを学んでいるところ。

和泉:自由大学でいろんな人の個性とか得意なことをみていると、その人の良さが見えると同時に、自分の得意なことも見えてきて、そういう違いがあるからこそ、どっちがいいとか悪いとか優劣じゃなくて、お互いの良さが見えてくるんだよね。自由大学でいろんな人に会っているからどんどん見えてきて、得意そうなことを頼んでみるという実験をしているんだけど、その精度も結構上がってきてる。

岡島:いろんな人に会えるというのは財産だよね。いろんなタイプの人に会える。いろんな人に会うことによって、考え方が更新されるというか。身体の細胞も代わっていくように、考え方も新しいものを取り入れて代謝していけるというのが自由大学にいて、ものすごく感じる。

和泉:代謝しているね。それはすなわち、自分のものにしているということだから、噛み砕いて、血となり肉となり、もう一回作っていくという。

水澤:今年の自由大学は、そとの人と一緒にプロジェクトを作ったり、何かをやるということが多かったよね。
和泉:いろんな人と関わるからこそ、見えてくるものとして、自由大学のいままで大事にしてきたものが、他のやり方と出会うことで、より明確になったね。それだからこそ、そこを大切にしつつ、他の切り口でワークショップを作ったりだとか、シンポジウムを作ったり、一日だけの学びを作ったりとか、どうやって自分たちの良さを活かしてそういうものを作るかというのがわかってきた。違いがわかるからこそ、出せる良さと抑えておくべきところだったり、一点光る味付けだったりが出来るようになった気がする。

小酒:私は、もともと、人と一緒に何かをやるのが苦手なので、どうやってみんなのちからを集めていくかというのを、いつも学んでいるし考えてる。毎年だけど今年は特に、卒業生が活躍していて、自由大学が作るきっかけ以外にも、自分たちで合宿したりとか、いろんな活動が広がっている。そんな様子を見ながら、みんなが自由になるステージというか、場所をどう作っていくかを学んでいるかな。

あと、自分がいままで、キュレーションしてきたものって、占いとかスタイル発見とか、実学的なものが多いので、これを得たというわかり易いものだったけど、今年は硯学とか、実利とはちょっと違う、ゴール設定がないというか、みんなでこれから作っていくという未知のところが大きいものにチャレンジさせてもらったなと。

水澤:新しい講義といえば、ついにリリースした手前味噌学。

白井:苦節一年。発酵、熟成してきた。まあ、味噌も一年仕込みが多いからちょうどいいかな。

和泉:ポジティブですね。なんでもポジティブに捉えられるんだなということも学んでいるな。

白井:僕は、今年は自由大学が活動の中心にあって、それ以外にごはん同盟だったり、いくつかあるんだけど、それぞれが臨界点を越えて、これまでやってきたことが全部繋がったかなと実感している。そこに境界を持つことに意味はないし、それぞれいろんな出会いがあって面白いし、その環境を見ていることで学んでいるね。人の発酵を見守る蔵人みたいになっていったらいいなと。自分の活動に境界がなくなったことで、ほとんど接点がなかった人たち同士を繋ぐことができて、予想外のことが起きたりしている。コミュニティが違うからとか気にしたり、躊躇せずにやってみるというのも学んだことだね

岡島:変なこだわりを持っていると残念なことになったりするよね。

白井:結果を予想したところで、意味ないなと。

和泉:人が想像できることはたかが知れているからね。

水澤:みんなそれぞれ、いろんな人に会って、いろんな事件が起こっているということで、自由大学にいると日々がギャップイヤーみたいなものかもしれないね。

岡島:ギャップがあるからクリエイティビティが生まれると思う。ギャップイヤーも旅をすることで、いろんな世界をみて、自分の世界の小ささに気づいたりして、次のステップを考えたりだとか、あの人と考え方が違うんだろうとか、これを作りたいのに自分に技術がないけどどう形にしていったらいいんだろうかとか、とにかくいろんなことを考えるチャンスだよね。ギャップって創造性の種みたいなものだと思ってるから、いいきっかけになるんじゃないかな。

水澤:これからも、どんどんギャップを活かしていくということで。

和泉:ギャップは埋めない!

2014年はいろいろな経験をするGAP YEARと決めて、自由大学でいくつか講義を受けてみるのもオススメですよ。新しいプロジェクトがぞくぞく進行中なので「自分の出番だ!」と思うイベントや企画があったら手を挙げて参加してくださいね。これを読んでくれているあなたがクリエイティブチームにメンバー入りするかも。本年もよろしくお願いします!

 

【登場人物紹介】
和泉里佳 / 全方位反射型アドベンチャー
飛んでくる球は9割型打ち返す冒険家。突然の変化球や豪速球にも機敏に反応している模様。本人は愛情をもって適材適所に打っているつもりが、時にそれは周囲にとって爆弾となることも。みんな、乱れ打ちの球をキャッチして遊んでね。

岡島悦代 / 自由大学の超カミオカンデ
宇宙…それは最後のフロンティア。科学が発達しても未だに宇宙誕生の謎や大きさは解明できていない。言葉は概念を生むけれど、制限もする。言葉は人間の限界。たまには空を見上げよう。自分の小さな領域から脱出しよう。

小酒ちひろ / 日本刀系大蔵大臣
フリーダムでフラットな自由大学に似つかわしくない大蔵大臣という言葉。しかも昭和。このキャッチコピーはある意味挑戦状。静かにしなやかな太刀で、2014年はこの挑戦状を切って見せましょう。そこの方、履物は揃えてね。

白井順一 / 蔵出し長期熟成仕込み
白い豆から赤い味噌。発酵熟成繰り返し、うまみ出します幾年月。見た目はそんなに変わってない? そんなことない樽の中。雑菌、ばい菌はねのけて、微生物たちのビックバン。昨日の味とはひと味違う。醸し醸され生きるのさ。

水澤充 / 座敷わらし焼きいも系
気がつくと近くにいて、そっと微笑んだり、いたずらしたり。たまにふらっとどこかに消えては、いつの間にかまたそこにいる。あまり主張はしないけど、ハートは熱く、じわじわ攻める。見つけられたら、何かいいことあるかもよ。



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