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「けもの道をゆく」座談会は、自由大学を運営するクリエイティブチームが、自分たちで道を切り拓いていこうという思いで毎年続けている年末恒例コンテンツ。2017年のスローガン “真面目は無能のいいわけ 人間らしくまともに生きよう” の旗の元、メンバーそれぞれが一年を振り返ります。

2017年、どんな年だった?

岡島:一年間お疲れ様でした。2017年、酉年が終わりそうですね。今年は新たな時代の幕開けにふさわしい年だった気がします。本村さんと武田さんが新しくクリエイティブチームのメンバーに加わったり、わくわくする新しい講義が増えたり、変化の一年だったように感じます。

武田:わたしは今年の9月に自由大学に入りました。前の職場の働き方から180度環境が変わったのでどうしていいかわからなくてはじめは混乱ばかり。いまでも困惑してます(笑)。

岡島:「この子だ!」思って、当時みどり荘で働いていた武田さんをスカウトしたんです。彼女は華道をやっていることもあって感性が豊かだし、当時クリエイティブチームのメンバーが男性2人と年上のわたしだけだったので、バランスがとれるなと思って。

本村:僕は「希望の未来学」という講義のキュレーターから、自由大学のチームに入ってきました。

岡島:今後エネルギーがどうなるか? という内容の講義でしたね。実際蓋をあけると、いわゆる電気などのエネルギー問題だけじゃなく、生き方を考える講義。「自分が持っているエネルギーをどこに向けるのか?」という問いがあって、「自分たちがどうあるべきか」を考える。その講義を経て、クリエイティブチームのメンバーになってもらいました。

本村:そうそう。エネルギーの熱量だけじゃなくて、人が人にあたえるインパクト、活気がある地方、自由自治の話。食料、水、グローバル、ローカル、テクノロジーの話。こういう話は全部「エネルギー」の問題で、これを考えないといけないなって。「希望の未来学」では最終的に参加者自身が自分たちの未来を考えるような「問いかけ続ける授業」にするようにしました。

目指したのは「答えのない抽象的なことを議論し合うこと」

本村自由大学は、簡単に答えがでないものを自分でなんとか見出す場。すごく抽象的だけど、これを見つけられるかどうかが人生の豊かさにつながると思います。そのためには、ぶつける相手や考える仲間がいないといけない。普通はつくろうと思ってもつくれない。自由大学は、現代に疲れた人が逃げ込む場にもなってると思います。

岡島:駆け込み寺みたいな(笑)。

武田:まさにそうですよね。価値観の全く違う人が集まって意見がぶつかり合うのに、完全に否定されない環境って、なかなかないと思います。

岡島:2人が言うように、今年の自由大学は「抽象的な問題をどれだけ語り合えるのか」を大切にしてきました。だから、問いを設定して掘り下げる講義を立て続けにつくりましたね。

武田:わたしは今年始まった哲学対話の講義にもでました。「後悔ってなに?」とか「伝統ってなに?」など普段深く考えないようなことについてひたすら対話する講義でした。自分の意見を述べて、相手の意見に問いをぶつけて、論破するのではなく理解を深める。当たり前のことであるはずなのに、目の前にいる人の深い部分を理解しようとする環境ってあまりなかったので新鮮でした。

岡島:抽象度が高いものの方が話の幅も広がるし、垣根なく話せることがあると思うんです。具体的な経験は共有しずらいこともあるし、社会問題解決型だと関心がない人は入り込めないことも。より多くの人を議論に巻き込むために誰もが自分の意見を言いやすい状況をつくる。実利がわかりやすい講義でも、長年やっている講義でも、時代の変化に合わせて内容を見直す講義もあります。だから、自由大学のやりたいことにマッチする講義に人が集まってくるんじゃないかな。自由大学は生き方や働き方を考えることを先頭を切ってやってきたけれど、世の中に自由大学が提案してきた価値が広まってきたので、今後はさらに先を見て柔軟に対応していきたいなあと思います。

クリエイティブチームで心がけていることは?

岡島:「働き方」を大事にしています。たんに労働時間を減らせばいいわけではないけど、クリエイティブチームは週3のミーティングと講義の担当を各自で責任をもってやってもらっています。プロジェクトによってリーダーシップをとる人は異なるし。一人があれこれ指図するよりも、お互い辛抱強く見守ることが大事。本村くんなんてほとんど海外にいるもんね。

本村:そうそう。今年だけで60各国行ったかなあ。マイナーどこだったら、ジョージア、マリ、ブルキナファソ(西アフリカ)とか。どこもかしこも「働き方」など日本が悩んでいる問題を抱えている。今後は、シェアオフィスとか、それこそシェアリングエコノミーとか、もっと循環・シェアする発想が進むと思います。世界中に場所はあるから。

武田:本村さん、デング熱にかかって大変だったとか(笑)。

本村:そうそう、2017年は大変でした(笑)。

武田:自由大学に来てから、働き方を変えようって思って頑張っています。小さなことだけど、夜10時以降はメールを見ないとか。仕事の仕方をチームのみんなからアドバイスをもらっています。

本村:自由大学の働き方って、安定した組織に属するとか毎回お金もらえるとか、ありきたりの働き方とは真逆。だから、不安がないといえば嘘です。でもその分、人との出会いがあるんです。そして、こういう働き方や組織のあり方は主流になっているし、むしろ大きな組織が変わらないといけなくなっていると思います。

岡島:そうですね。あと自由大学で大事にしているのは、ベタベタした湿度の高い関係をつくらないこと。そのためには個として自立すること、個性を認め合うことが必要かな。



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