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【vol.10 真面目な議論より大切なこと】花村えみ

解像度をあげるWHY

いまベルリンに来ている。ドイツでは難民の受け入れ問題について、テレビ上でも若者の間でも熱い討論が続いていた。確かに2016年、難民にかかった経費は300億ユーロと言われていて、世界で一番の待遇を誇っている。しかしそれに対してドイツの人たちはどう考えているのだろう?

今回素敵な縁をもらい、Refugees(難民)concertに出席させてもらうことができた。CUCULA(ククラ)という団体がオーガナイズしているのだが、彼らのコンセプトが面白い。[ドイツにおける難民の現状を真面目に討論するのではなく、もっと実用的で即効性がある行動が伴うアプローチをやろう]というものだ。

Cuculaというのはハウサ語(主にナイジェリア北部からニジェール南部にかけて用いられる)で “to do something together” (一緒に何かをする)という意味だという。ベルリンに拠点をおく団体で、そこではドイツ語のクラス、法律関係の相談はもちろんのこと、デザイナーが提案する家具を一緒に作るワークショップに力を注いでいる。ワークショップで大切にしているのは「一緒に」という点で「彼らのために」ではない。

https://www.cucula.org/en/concept/

EU各国の世論が難民敗訴に傾いてしまったように、我慢をしながら笑顔を作るというやり方をしても、いつか鬱憤が溜まりダムが決壊してしまうことを彼らは知っているのだ。それよりも自然体で行こうと覚悟を決めている。

今回の演奏はCUCULAに所属するマリ、ナイジェリアからのメンバー、Jerszy Seymour氏のセッションだ。彼らの声や楽器が中低音の響きとなり、心地よく身体に響くハーモニーを作り出していた。演奏を聴きながら強く感じたことは行動することの可能性の大きさだ。

身構えずに、頭でっかちになりすぎずに。

coolにさらりと、でも意思をもって。



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