ブログ

動いている庭、ロンドン。

毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが日々のできごとを綴ります

クリエイティブチーム日記

クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は花村えみです。

クリエイティブチームメンバーはよく東京を離れます。私もいまロンドンから仕事をしていて、2週間になります。住むように旅している中で感じたことを書きます。

街を歩いていて歩いていて思うのは、生粋のイギリス人なんてすっごく少ないのじゃないかってこと。(東京だってみんな上京して来た人ばかりだけど!)街の中では300の言語が話されているんだとか。確かに耳に入ってくる言葉はフランス語やスペイン語の類じゃない、未知なるイントネーションばかり。人種も主張も入り混じって混沌としているんだけど、みんなが自虐的な笑いをたくさん言いあって、憂さもちゃんと晴らしながら、心地よく存在しています。

「多様性を大切にする」という言葉は、どこか硬くて、公民館のポスターの標語に書いてありそうな?とっつきにくさを感じることがありませんか。そもそも多様性って、人間が意図的に作り出せるものなのでしょうか。ジル・クレマンの「動いている庭」という本でこんな一節があります。庭師ならではの、自然が生み出す生態系との関わり方を書いていて、納得するところが多いんです。

「植物が転々と移動し、ただの草花の広がりの中に形を結んでは、ほどけ、混ざり合っていく。あらかじめ庭のデザインが決まっているわけではなく、その場の環境から導かれる植物の動きを中心として、庭師がその動きを解釈して方向づけ、整え、さらには昆虫や動物、来場者といった庭を織りなす様々な要素の動きの交錯が、庭を形づくっていく」

ジル・クレイマンのいう庭はロンドンの街そのものだと感じます。(同じような国際都市でもニューヨークは、大陸の中の一都市であり自由に移動していける感じがして、庭という表現はしっくりきません。)一見統制が取れていないこの賑やかな環境は、新しい植物を生み出す土壌としての力を持っています。

ロンドンで「多様性」の居心地のよさを体感している毎日です。


カテゴリ: ☞ コラム

タグ: ☞ 花村えみ


関連するブログ