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【vol.1 旅の再考】佐藤大智

価値の濁流

自由大学READY STUDY GO

振り返ってみると毎月東京を離れ違う土地へ行っていることに気づいた。ふと、旅と移動の違いはなんだろうと気になった。どちらもある地点から、ある地点へ身を移すことには変わりない。この2つの差は、移動はある点からある点へ移ること自体であることに対し、旅は移動の過程も到達地での体験も全てがそれにあたるのではないかと思う。

では、観光名所から観光名所へと巡る行為は旅といえるのだろうか。もしかしたらそれは移動であり、旅ではないのかもしれない。友人が土産話を話してくれるときは、観光名所の話よりも案外そこへ向かうまでにこんなことがあったとか、地元の人との会話が楽しかったとか、思いがけない出来事があったとかそういうことを口にしている。観光旅行は、事前に知っていた良いとされるものを確認する行為で、旅は新たな発見を伴うものではないかと思う。確認したことよりも、自分で見つけたことの方がいい経験だったからこそ、人に話すのだろう。

人類が農耕を始め定住する前は住む場所を変えながら狩猟採集をする生活をしていたり、日本ではお遍路、西洋では巡礼という行為をしていたり、何かを求めて他の地に身を置くことは人間の性なのかもしれない。

自分の興味の根底には「理想の暮らしとはなにか?」というテーマがある。違う土地での暮らしの営みに触れ、解釈し、エッセンスを自分のものにする上で旅はとてもいい。その土地で、どんな家に住んで、どんな服を着て、どんな食べ物を食べて、どんな表情、どんなふるまいか。そして、空気の質感、音、香り、光。ネットや本で写真を見ていたり、情報を得ていても、そこで感じること、発見することの方が圧倒的だ。

旅先で表面的な部分を写真として手に入れるだけではなく、そこで感じたこと考えたことを持ち帰りたい。

 

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