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境界線を崩す

FREEfromFREEDOM! 佐藤大智

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隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!そのバックナンバーをお届けします。


 

夏の暑い日、セミが鳴いていた。それを捕まえた。手に取ると、鳴き声はよりいっそう激しさを増した。口へ運び、顎を上下させ、鳴き声は止んだ。そして、喉を通り、自分の身体の一部になった。

虫とケーキがあったら、ケーキを食べるだろう。なぜ虫を食べたくないと思うのだろうか。なぜ虫を食べ物と認識しがたいのだろうか。

ゴキブリを数千匹飼っている友人はゴキブリを食べる。それでも、彼は元気に生きている。ゴキブリを食べるなんて絶対にありえないと思っていても、そのありえない世界で同じ時を生きてる人もいる。自分はなんて狭い世界で生きて、その狭い視野で物事を考えているのだろうかと思った。負の感情にこそ自分の凝り固まった価値観がつまっている気がした。だから、セミを食べてみた。

先週の日曜日は軍鶏を屠殺して食べた。足を縛り逆さに吊り、喉を切る。血が流れ出る。かわいそうな気持ちと申し訳ない気持ちがこみ上げてくる。羽を抜き、ナイフで部位ごとに分けると肉になる。美味しそうに思えてくる。動物と肉の境目はなんだろう。命と食べ物の境目はなんだろう。生ゴミと命の境目はなんだろう。そもそも境目はあるのだろうか。「食」「命」「生」「死」は身近な存在なので、気になってしまう。

現代は虫を食べなくても、自分の手を血で染めなくても生きていける。でも、みんなが前に習えで行進していると、恐怖を感じる。行進中にわざと止まってみたくなる。違う方向に歩いてみたくなる。みんなが同じ方向を見ていると、違う見方を探してしまう。ただひねくれているのかもしれないけど、なにより価値観を揺るがすことが楽しい。

自分の、社会の固定概念を壊して、本質に迫っていきたい。そして、本質に迫る問いを投げかけていきたい。

 

[text:佐藤大智]
自由大学クリエイティブチーム

[自由大学マガジン vol.154 2016/2/17]


カテゴリ: ☞ コラム

タグ: ☞ 佐藤大智


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