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FREE from FREEDOM

隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!そのバックナンバーをお届けします。


最近「感受性」が私の中でキーワードになっています。五感で感じ取った刺激をどのように受け取るのか、ということです。先日あるお茶会に出席した際、亭主が切った青竹の側面の皮の一部を上から下まで削り、白く浮き出た竹肌を滝に見立て、花を活けていました。それを見て「清々しく、涼しげだ」と思うのは、他国の文化に生まれ育った人も同じなのか、と考えました。

最近、何かとご縁があるオレゴン州ポートランドには、マルトノマの滝という立派な滝があります。ポートランドに住む人たちが青竹の花入れを見たとき、彼らは何を思うのか興味が湧きます。街づくりやDIY精神、LGBTQ文化、コーヒー・ロースターや醸造所の数の多さなど、日本で多方面から注目度が増しているポートランドですが、住民の自然に対する感受性は、未来を見据えた行動力によって体現されています。100年前は林業によって木を切り倒し、第二次大戦前からの工業化によって川を汚してしまった反動から、現在は視察が相次ぐ環境先進都市として、リーダーシップを発揮しています。

ポートランド市は、1997年に採択された京都議定書を参考に(米国は離脱しましたが)、2050年までにCO2の排出量を80%削減する政策を掲げています。昨年、サード・ウエーブコーヒー文化を牽引するスタンプタウン・コーヒーを訪問した際に「美味しいコーヒーを飲みたいから、化石燃料を使わない自転車通勤しているんだ。」と、カッコ良くカスタマイズした自転車がずらっと並ぶ駐輪場を、スタッフの方が見せてくれました。行政の政策を知ってか知らずか、両腕にびっしりとタトゥーが入っているお兄さんが環境のことを語るとは思わず、少々驚きました。

ポートランドに住む人々は、夏になると毎週末はキャンプで忙しいそうです。都心から20分も車を走らせれば、原生林が残る豊かな自然をを満喫できます。彼らは「サスティナブル」という言葉を人間関係にも使います。森の中では大きな生命の循環が行われ、多様な植物や動物たちが蠢きながら調和を保っています。豊かな森から共存・共生の力を学び、日常生活で実践しているように思います。

日本に暮らす私たちも、四季の移ろいを衣食住に取り込む感性を、行動へ移すタイミングに来ています。創造的に、楽しみながら未来をつくる。その原体験をするために、この夏も「クリエイティブ・キャンプ・イン・ポートランド」を開催します。

text: 岡島悦代(クリエイティブチーム)

[自由大学マガジン vol.137 2015/6/24]

 


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