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面白がることの探求活動 西村琢さんの未来の仕事 part2

西村琢/未来の仕事教授

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体験ギフトの企画販売を行なうSow Experience代表の西村琢さん。自由大学で長く持っている講義「未来の仕事」からいろんなプロジェクトが生まれているなか、あえて「未知なる感」を残している、と言います。そんな「未来の仕事」とSow Experienceの商品との共通点とは?聞き手は、自由大学学長の和泉里佳さんです。

聞き手:和泉里佳(自由大学学長)
司会&対談構成:高橋宏文(フリユニラジオ編集長)

part1 誘い誘われることの面白さ
part2 得体の知れない「未来の仕事」
part3 仕事のベースは学びにある
part4 仕事のさらなる原点は、面白いと思う「遊び」
part5 人生で大切なもの=面白がること


得体の知れない「未来の仕事」

和泉 自由大学でも、西村くんの「未来の仕事」という講義はスタートしてもう3年以上になりますね?

西村 そう。ええっと、15期が終わったのかな。

和泉 自由大学でいちばん長くやっている講義が「未来の仕事」と伊藤洋志くんの「ナリワイをつくる」と深井次郎さんの「自分の本をつくる方法」で、「未来の仕事」はいちばん早くからやっている講義ですが、どんな人が来ているんですか?

西村 やっぱり少し迷っている人が多いですよね。「自分の人生、これでいいのか?」みたいな。

和泉 会社に勤めている人たち?

西村 あるいはもう辞めちゃっているとか、辞めることを決めちゃっているとか。

和泉 そう言えば「昨日、辞めました」みたいな人もいましたね。このままじゃいけないから何かしたいな、という感じなのかな?

西村 やればいいじゃんっていう話でもあるんですけどね。でも、そう言いたい気持ちはあっても言わずに、せっかく来てくれているので、ポジティブな悩みを持って帰ってくれたらいいなという、ただそれだけですよね。

和泉 ここで自ら何かをつかみとっていくための環境づくりをしている、みたいなところはありますよね。

西村 ありますね。

和泉 そこから「仕事旅行」や「giftee」 などいろんなプロジェクトが生まれていますけど、どんなものが生まれていますか?

西村 そのふたつは会社というかたちになって、わかりやすい代表例かもしれないですね。両方とも3年前なので、その後が続いていないじゃんっていう話もあるんですが(笑)。でも、得体の知れなかった初期に集まってくれた人はそういう動きが早かった、というのは事実かもしれないですね。

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和泉 そうですよね。「未来の仕事」が始まったときって自由大学が始まったときでもあって、そういう混沌としているときに、なんかよくわからないけど飛びこんでみるっていう。

西村 まだ評価の定まっていないとき…だけどまさに直感ですよね。今もまだ引き続き、得体の知れなさはあるんですが。

和泉 得体の知れなさはずいぶん残っていますよね。私はそれがすごく大好き。

西村 そこがすごく大事ですよね。

和泉 そう、そこがやっぱり大事なところで、みんな親切心からすごく一生懸命、懇切丁寧にサービスの詳細を言いがちじゃないですか。そうじゃなくて、何があるかわからないけどワクワクする、というのが人生においてはけっこう大切だと思うんですよね。それをあえて残しているところがある。「ゲスト=調整中」「ゲスト=近日公開」というあの感じ。

西村 全部決まってないじゃないかっていう。

和泉 それなのに、そこに何かを感じて来てくれる、というのがね。

西村 それをうまく残すのは大事ですね。カニはもうみんな美味いって知っているけど、カニを最初に食べた人って偉いですよね。あれ、最初はなかなか食べられないと思うんですよ。

和泉 確かに。

西村 そもそも怖いじゃないですか。むしろ食べられちゃうんじゃないかっていう(笑)。

和泉 たぶんキノコとかもそうですよね。

西村 そういう「未知なるもの感」は残しておきたいっていう。

和泉 そういう自由大学でやっていることと、今のSow Experienceや自分たちの生活のなかと関係してくることってあるんですかね?

西村 そうですね。すごく具体的な話ですが、今、僕らがやっている体験ギフトって、贈り物じゃないですか。これの売り上げを増やしたいというのは、販促としてある。じゃあ、お金が1000〜5000万円くらいあったとして、それを販促費で使える状況っていくらでもつくることができると思うんですが、それをどんどん広告に使っていいのかというと、それはちょっと慎重に考えなくちゃいけない。贈り物って、ひっそりとした商品でなければならない、という命題を抱えているんですね。ガンガン広告しまくっているものを、みんな贈り物として使うかというと、そんなことはないんじゃないかなと。

和泉 確かに!

西村 僕らの商品というのは出会いかたがすごく重要で、Googleの広告とかにランキングして、その人にガンガン出せばいいというわけじゃない。その人は、「きっとほかの人もこの広告は見ているだろうから、この商品はあまりよくないな」と考えたりすると思うんですよね。とはいえ、売っていかなくてはいけないから、いろんなお店にいっぱい出していく。でも、それでいいのかというと、それもひとつ考えなくちゃいけなくて、たとえばいろんな店舗には置いてあるけど、お店のなかでちょっとわかりづらいところにあえて置いてもらう。その人が自分で見つけた、というふうに思えるようにする。あるいは、もしかしたら店員さんが「こんなのがありますよ」って言ってくれるかもしれない。そういう工夫はまだそんなにたくさんやっているわけではないけど、そういうことを考えておかないと、たとえば広告を1億円で1回やっちゃったら、もう後戻りできないですからね。消費されたら終わりだから。

和泉 そうですね、「あのとき流行ったあれでしょ?」ってなっちゃったら切ないですよね。

西村 世の中にそういうものがすごく多いので、そうしたくない。

和泉 「その人を前のめりにさせちゃう感」が、自由大学と共通しているところがありますね。

西村 そうですよね。だから、あまりこちらから差し出がましいことはしない。そういう感じがいいかもしれないですね。「でも、実はまだやっていました」というのが脈々と…。

和泉 着々と知っている人や好きな人が増えていくんだけど、なんかちょっと慎ましやかで、「知ってるの?いいよね」みたいなのって、いいですよね。

西村 ねえ。それくらいでいいんじゃないかな。


西村琢
Sow Experience代表

2005年に体験ギフトの企画販売を行うソウ・エクスペリエンス株式会社を設立。徐々に本業が軌道に乗りつつある今、仕事旅行なども行っています。好きな言葉は「笑う門には福来る」。いやホント、笑ってると良いこと起きるものです。エネルギー源は一人でも多くの人が前のめりで刺激に満ち溢れた人生を送れる社会にしたいという思いです。
Sow Experience TAK NISHIMURA BLOG twitter: @tak_nishimura

※西村琢さんが自由大学で教授を務める講義「未来の仕事(入門編)」は現在3/18(月)からスタートする16期の申込を受付中。詳しくは自由大学ウェブサイトへGO!

part3 仕事のベースは学びにある

 



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