自由大学ではこれからメディアや部活などを立ちあげていく、という話をしたこの対談のあと、実際にこのようにして立ち上がったのが「フリユニラジオ」!黒崎さんと和泉さんの対談完結編です。今後の自由大学の動きも楽しみですが、2013年以降はもう一歩動いていくことが大切だ、と黒崎さんは対談の最後で締めくくりました。
黒崎輝男(自由大学ファウンダー)✕和泉里佳(自由大学学長)
司会&対談構成:高橋宏文(フリユニラジオ編集長)
part1 自由大学は常に愚かでありたい
part2 自己増殖的に膨らむ組織体 〜 Which Way? どっちにするの?
part3 学びの場から社会ムーブメントをおこす 〜 もう一歩、動いていくこと
学びの場から社会ムーブメントをおこす
高橋 2013年は、自由大学出版を立ち上げて本を出版する計画もあるし、自分たちのメディアを立ち上げる予定もありますね。
黒崎 「フリユニラジオ」というWEBマガジンも立ち上がるしね。それから「MOONLIGHT FM」は、仕事が終わった夜21:00から翌2:00までオンエアするというもの。
高橋 でも、これだけいろいろなものが立ち上がってくると、もはや学びの場にとどまらなくなってきますよね。
黒崎 だからある種の社会ムーブメントになると思う。2013年はそうやって、ラボ、出版、放送局、WEBマガジンなどいくつものプロジェクトがあるじゃないですか。あと、運動部をやりたいね。毎月1回は世田谷公園でランニングして、シーズンごとに代々木公園を走って、年に1回くらいは皇居を2周くらい走るとか。それにアメフトやラグビー観戦など、スポーツを生活のなかに取り入れるような一連の運動系というのかな。
和泉 そろそろ自由大学内で部活みたいな感じのものって出来る気がします。自由大学でいくつかの講義を受けて定着してきた仲間がいて、「アメーバワークスタイルラボ」もあって、そこに出入りする人たちが増えてきているから、その人たちのなかで部活みたいな感じで、走るとかバドミントンをやるとか。サークル活動として、写真部とか手芸部とかも出来そうになっているし。
黒崎 昼間とか、そういうの、いいんじゃない?
和泉 うん、でもなんか会社勤めをしながらそういうことをやる方が面白いかなって。夜の部活って言うのかな?講義を受けたり、部活したり、そこで恋愛とかもしちゃったりして。学校っぽいですよね。
黒崎 たとえば作品展や発表会をやると、みんな盛り上がるよね。だから出口があるというか、何か発表できることをやるといいと思う。
もう一歩、動いていくこと
高橋 2013年はまたいろんな講義も出来そうだし、部活やメディアや本など、どんどん膨らんでいきそうですね。
和泉 あと、たとえば「復興クラブ」も遠藤さんの家の隣に良いアジトが出来て、そこを拠点に畑をやったりお米を東京で売ったりもできるし、こういうこともどんどん膨らんで発展してきていますよね。
高橋 今後はもしかしたら東京にとどまらない動きも出てきそうですね。
黒崎 そうそう、だからスウェーデンカフェをつくるとかもやれるしね。
和泉 2012年、「クリエイティブ都市学」で現地集合・現地解散の旅をポートランド、ストックホルムなどいろんなところでやってきて、そういうことが今後、海外や国内でどんどん増えてくると思います。仙台でもそうやって現地集合でずっとやってきているわけだし。
黒崎 だけどね、たとえば「オイスター・バーをやりましょう」とか「あそこの家のこの場所が最高だから、これをやりましょう」と言い切る人はいないわけ。なぜなら今の優等生はみんな客観的にいいことをしているんだけど、自分の個人的にやりたいことを抑える傾向があるんだよ。日本人の場合はなぜだかそういうことを言っちゃいけないというのがある。じゃあ、誰の力が強いかと言えば、お上の力とかそういうのに頼りたがるわけだ。それが残念ながら、今の日本人を個性的でなくしてしまっているのだと思う。人種としては個性的だと思うんだけど、「あそこの場所でこういうことをやろう」と言い切る人がいない。だから自由大学のチームとか、自由大学にやってくる面白い可能性を持った人たちがもう一歩いろんなことをやれると、明治維新のようにポンポン出来てくるので、そういう人を育てたいなと思う。最初のうちは僕も出て行って、踏み台にされても何でもいいけど、徐々にそういうことが出来てくると、自然にそれがムーブメントになって、今の時代としてはいいかなと思う。だからもう一歩なんだよ、2013年が大切だね。
和泉 だから、自由大学で何かをやりたいという人には何も制限はしないし、その環境はある。でも「何かをやって」と言われるのを待っていたら何もない、ということでしょうね。
黒崎輝男
自由大学ファウンダー。1949年東京生まれ。「IDEE」創業者としてオリジナル家具の企画販売・国内外のデザイナーのプロデュースを中心に、”生活の探求”をテーマに生活文化を広くビジネスとして展開。東京デザイナーズブロック、Rプロジェクト、スクーリング・パッド、青山でのFarmer’s Marketや246Commonなど、東京の今をつくるプロジェクトをいくつも仕掛けている。
和泉里佳
自由大学学長/キュレーター。自由大学の全体構想をまとめる学長。大学在学中はアメリカンフットボール部のチーフマネージャーとして150人を超えるチーム運営を経験。上海での毎日が大冒険的仕事生活を経て、帰国後自由大学の運営に。人生が大きくシフトチェンジするきっかけを刺激的な学びの場で得たことから、そんな感覚や経験を生かして、ワクワクの学びスイッチがONになる状況を創っている。1979年名古屋生まれ。