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面白がることの探求活動  西村琢さんの未来の仕事 part1

西村琢/未来の仕事教授

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「体験ギフト」の企画販売を行うSow Experienceという面白い会社があります。代表の西村琢さんは、いったいどんなきっかけでこの体験ギフトを始めようと思ったのでしょうか。人を誘い誘われることから始まったという西村さんが日々、心がけているオフィスの環境づくりとは?聞き手は、自由大学学長の和泉里佳さんです。

聞き手:和泉里佳(自由大学学長)
司会&対談構成:高橋宏文(フリユニラジオ編集長)

part1 誘い誘われることの面白さ
part2 得体の知れない「未来の仕事」
part3 仕事のベースは学びにある
part4 仕事のさらなる原点は、面白いと思う「遊び」
part5 人生で大切なもの=面白がること


誘い誘われることの面白さ

和泉 西村くんはSow Experienceという会社をもう7〜8年やられていますが、どんな会社なんですか?

西村 エクスペリエンスな会社ですね(笑)。

和泉 いちばん有名なところでいうと「体験ギフト」ですよね。

西村 「体験ギフト」が看板商品ですね。モノを贈ることはよくあるけど、体験も贈ることができるんじゃないか、と。

和泉 モノはいずれなくなっちゃうけど、体験って自分のなかに蓄積して記憶に残りますよね。

西村 僕らは結局、その体験を最終的にモノにしているというか、パッケージ化して売るので、モノっぽく贈ることができるようにしているんです。それこそ、誰か女の子を誘ってご飯を食べるとか、両親に美味しいものを食べさせてあげるとか、そういうものと厳密に何が違うのかというと、別に違いはない。人を誘って何かをするとか、人に誘われてどこかに行くということに極めて近いですね。

和泉 そのモノがあることで、きっかけになりますよね。

西村 そう、贈りやすいということもある。モノがあることで制約もあるけど、逆に流通のしやすさというか、こうやって話しているあいだにも東急ハンズで売れていたりとか。そういうふうに、体験がパッケージ化されて売れるというのは、商売的にはすごくやりやすいなと思う。でも本質的には、誰かを誘って何かをするというのと変わらない。そういうのっていいですよね?

和泉 いいですね。なんでそれをやろうと思ったんですか?

西村 僕自身は、かなり誘われて生きてきたな、というのがあるんです。この会社に関しては、僕が多くの人を誘って巻き込んでやっているんですけど、ほかの大半のことは、誘われてやってきているんだろうなと思う。それこそ「受験でもしてみる?」と言い始めたのは親だし、それって親からの誘いじゃないですか。教育って、親からの誘いのような気もするんです。「テニスをやってみる?」と言ったのも親だし、初めてJリーグを観に行ったのは、フロンターレ川崎の大ファンの友だちに誘われたからだった。あとたとえば、これも友人に誘われてJ-WAVEに出演することになったら、「ラジオだから緊張するよね」とか言いながら行くわけだけど、それが楽しい。

どれも人から誘われて行くことだけど、それって、贈るとか贈られることに極めて近いような気がするんですよ。人って、「誘う」と「誘われる」のバランスが均衡していることはあまりなくて、常に誘いすぎか誘われすぎのどちらかなんですよね。でも「最近誘われすぎだから、ちょっと誘っておこうかな」って無意識的にやっていると思うんです。そういうのを繰り返していくと、お互いがお互いを誘いながら、みんなの経験値が上がっていくし、きっとそのほうが楽しいだろうと。…なんてことを思っていたわけじゃないんですが、でもそういう構造があって、そういうところに面白さを感じていた。

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このサービスについてはイギリスにもともとあった商品だけど日本にはなかったので、見つけたときに面白そうだなと思って真似してやっただけなんですが、たぶんそういう漠然とした「面白そうだな」というのは、なんかそういうところに秘訣があったのかな、という気がしますね。

和泉 そのきっかけづくりというのが、いい感じのスパイスになっているんですね。起業したときは、仲間同士でやろうという感じだったんですか?

西村 そうですね。僕がどうしてもやりたがりで、できそうだし、とにかくやってみたかった。とはいえ、ひとりじゃできないから、誰かつきあってもらおうかという感じですよ。

和泉 で、誘う、と。

西村 そう、それでとりあえず誘いやすいのが、周りにいた仲間だったので、彼らをひとりずつ誘いながら、という感じですね。

和泉 そういうとき、どういう誘いかたをするんですか?

西村 さまざまですね。暑苦しい手紙を書くこともあれば、「そろそろ来る?」みたいな電話をしたりとか。

和泉 そうやって、最初の頃からずっと人を誘いながら、今もそれが続いているんですよね?

西村 そうですね、ずっと続いています。もちろん離れていく人もいるし、いろいろですけどね。

和泉 私たちもそれに近い感じできているからか、見ていると、離れていくっていうのも「卒業していく」という感じに極めて近いのかな?というふうに思うんですけど…?

西村 そうですね。別にケンカ別れするわけじゃないし、オフィスには相変わらず居たりもするし、遠い親戚が増えた、みたいな感じですね。

和泉 今は何人くらいいるんですか?

西村 いわゆる社員というのは、9人。「仕事旅行」は子会社だけど、そこに2〜3人いる。いろんなところにいろんなメンバーがいるけど、全部で15〜20人くらい。

和泉 そういうメンバーがみんなイキイキと働いていらっしゃる感じがするんですけど、そのための環境づくりで何か気をつけていることはあるんですか?

西村 コントロールをしないということですかね。「みんな大人だから、自分でやってね」って(笑)。

和泉 おー、いいですね!でもそれ、すごくわかるんですけど、気にはなるよね(笑)。

西村 だから、僕が今のところ採っている唯一の方法は、「今、君たちが何をしているかというのは、しっかり見えるようにしてくれ」と。僕らは主にYammerというツールを使っているんですが、そこに書いてもらうようにしているんですね。それさえ担保されていれば、あとは管理することなんて面倒くさいから、できればどんどん勝手にやってくれと。

和泉 いいことを思いついたらどんどんやってね、という感じですか?

西村 そう、今のところ、それでできていますね。まあ、大した人数じゃないからかもしれないけど。

和泉 みんながやっていることをオープンにすることで、状況もわかる。ほかにもいいことってあるんですか?たとえば「それだったら知ってる。今、やろうと思っていた」ということを一緒にやったりとか。

西村 そういうのもけっこうありますよ。みんながお互い何をしているかということを、できるかぎり現在進行形で知っている状況に近いので、「それ、以前にやったよ」とかになる。暗黙知だけど、お互いどういう暗黙知を持っているか、というのをなんとなくわかっている。暗黙知は言葉にしないし、なかなかできないんですが、「あの人はこういうことを知っていそうだ」とか「そういえば、あの人は昔こんなことをやっていたな」というのはお互いけっこう知っているんですよ。だから、聞いて早くわかったとか、以前にやっていたからやる必要がなかったとか、そういうのは比較的発見しやすいんじゃないですかね。

和泉 いいですね、ウチでもやってみようっと。自由大学もけっこう似ていて、みんなそれぞれ自分でやっているのはもちろんだけど、講義をつくるときに「こんな講義を考えているんだよね」という話をいろんなところですると、「だったらこういう人を知っているよ」とか「ゲストにどう?」みたいなことがどんどんやって来るんですね。それで今、「日本国憲法ラボ」というのをやろうとしているんだけど(笑)。

西村 それ、旬ですねえ(笑)。

和泉 そうしたら、この人面白そう!っていうゲスト候補をどんどん紹介してくれたりして、盛り上がってきているんです。だからこうやってまたポロッと言っちゃうんだけど(笑)。

西村 (笑)。


西村琢
Sow Experience代表

2005年に体験ギフトの企画販売を行うソウ・エクスペリエンス株式会社を設立。徐々に本業が軌道に乗りつつある今、仕事旅行なども行っています。好きな言葉は「笑う門には福来る」。いやホント、笑ってると良いこと起きるものです。エネルギー源は一人でも多くの人が前のめりで刺激に満ち溢れた人生を送れる社会にしたいという思いです。
Sow Experience TAK NISHIMURA BLOG twitter: @tak_nishimura

※西村琢さんが自由大学で教授を務める講義「未来の仕事(入門編)」は現在3/18(月)からスタートする16期の申込を受付中。詳しくは自由大学ウェブサイトへGO!

part2 得体のしれない未来の仕事

 



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