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自由大学の進む道はどっち? 黒崎輝男✕和泉里佳 part1

黒崎輝男/自由大学ファウンダー × 和泉里佳/自由大学学長

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自由に生きる人の学びの場「自由大学」は、その根底に流れる思想や美意識をとおしてこれまで多くの魅力的な人たちを惹きつけてきました。ではこれからの自由大学はどのような道を歩んでいくのでしょうか。2013年以降に立ち上げようとしているプランなどを中心に、自由大学を立ち上げて引っ張ってきたお二人が語り合いました。

黒崎輝男(自由大学ファウンダー)✕和泉里佳(自由大学学長)
司会&対談構成:高橋宏文(フリユニラジオ編集長)

part1 自由大学は常に愚かでありたい
part2 自己増殖的に膨らむ組織体 〜 Which Way? どっちにするの?
part3 学びの場から社会ムーブメントをおこす 〜 もう一歩、動いていくこと


 

自由大学は常に愚かでありたい

黒崎 まずはそもそも、自由大学を突き上げて動かしているものとは何だろう?ということですね。底流というか、そこに流れる考えみたいなものを話しておいたほうがいいと思うんですよ。それはたとえば里佳さんが上海で生活していたときに感じたこととかにも通じるんじゃないかな。ここ最近、中国がどんどん伸びてきているのに、日本は保守的になってきた。里佳さんはそれを見て、まず大企業を辞めて、池尻のあの界隈(※自由大学の前身であるスクーリング・パッド)のあの雰囲気を体験したことで、そこから沸々と湧き上がるものがあったでしょう?それで里佳さんのようにフリーランスになると、どこの大学を出ていようが関係なくなって実力主義になっちゃう。そのときに本当の意味での思考力や行動力や判断力をつけるにはどうしたらいいか。それこそ中国に行けば中国の人たちは自分を主張するから、すべてが喧嘩みたいでしょう?喧嘩するにはこっちの思想もなければいけないし、言葉で生きていかなくてはいけない。でもそういうことは日本の学校ではいっさい教わってこなかったと思うの。里佳さんはきっと子供の頃も弾けちゃっていて、賢くて強いお姉さんだっただろうと思うんだ。いや、実際はどうだったかわかんないけどね(笑)。

和泉 (笑)。そうですね。学校は大好きだけど、授業はつまらなくて暇。もっとやりたいのに変な平等で合わせなくちゃいけなくて、思いっきり伸びられないという感じですかね。

黒崎 伸びちゃいけない、上へ行っちゃいけない。

和泉 そうそう。それだとつまらない。でも、そうじゃなくて思いっきりやっていい、むしろ思いっきりやらなくちゃウソということが世界に行くとわかる。だから「やりたい放題、やってみればいい」ということが自由大学で出来ればと。それが今、すごくいいなと思っています。

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黒崎 僕はいわゆる団塊の世代だったけど、18歳から一度も就職しなかったの。それで精神年齢18歳のままで知能指数はどんどん落ちていくし、いまや高校3年生からも落ちていって、小学生くらいになっているじゃない?(笑)でも、精神年齢18歳というのがすごく大切で、18時代に学生運動とかやって騒いでいる奴らとかみんなおさまっちゃうわけ。すぐにコロッと変わって大人になっちゃう。僕の場合は、永遠に大人になれないから考え続けざるをえないし動き続けなければいけない、という状態が良かったかなと思うのね。興味の視点が今も18歳くらいの頃と同じなの。ところが、クラスの友達でいろいろ学生運動とか戦っていた奴がコロッと普通のおじさんになっちゃって、歌もその頃のビートルズしか歌わないとかさ、そうなっちゃうのは寂しいと思う。

和泉 18歳の頃から変わっていないようでいて、それは実は時代の変化に合わせて変わり続けているということなんですよね。逆にすっかり大人になったようでいて、実は昔のまま固定化されて古くなっている。面白いですね。

黒崎 だから、馬鹿で居続けることがいかに大切か、ということだね。アメリカだと、馬鹿で失敗して笑われたりすることは恥ずかしいことではないというカルチャーがあるけど、日本の場合は、失敗しちゃったらダメだから失敗しないようにという状態で大人になっちゃう。

和泉 でも、それが大失敗だったりするんですよね。

黒崎 そう。昔の友達なんかに会っても、「実は何も面白いことをしていないじゃん」ということになる。だから、自由大学は常に愚かでありたい。気をつけないといけないのは、油断するとつい如才なくきっちりとまとまっちゃう方向に行ってしまうわけじゃない?確かにそれをやればそれなりに人は来るよね?だけどそれとは真反対で、そんなに賢くもないけど荒削りなところがあるものをわざと残しておきたい。そういうシステムがいいかなと思うんだよね。昔の寺子屋みたいなのがベースになって、教えるほうも資格がないし、学ぶほうも資格のために学ぶんじゃない。実利のある講義もあるけど、まるで実利のない講義だってあってもいいかもしれない。あとは高橋さんたちがやり始めている「ニューメディアラボ」や「クラウドファンディング学」など、新しい時代の流れみたいなものにもっとみんなが集まってもらうようなことも、2013年はやりたいな。里佳さん、自由大学の学長としての2013年の抱負は?

和泉 「めちゃくちゃ」ですかね。学びも遊びも仕事ももっとごちゃまぜにしていきたいし、会社員とかフリーランスとかっていう人びともごちゃまぜにしたいです。「アメーバワークスタイル」の卒業生の女の子三人が「ウニット(仮)」というUNITを組んで、世田谷パン祭りのバッグを作成したりしましたが、自由大学で出会った人たちが会社以外の場所をベースに活動して、新しい仕事をつくっていくということがすでに生まれ始めているので、2013年はもっと「学校で活動しながら仕事もつくっちゃう」ということが増えたらいいなと思います。あと、自由大学の講義自体は、「他で絶対やっていないよね!」みたいなめちゃくちゃ面白いやつをいくつかどんどん出していきたいですね。

 

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黒崎 それ自身がクリエイションでインスピレーションだ、というような講義をつくりたいね。それはなぜかというと、他だと学校法人でカリキュラムも縛られて体裁とかいうのがあるけれど、僕たちの場合はそれが一切ないからさ。それでいてカッコイイというのは、ある種の思想と美意識がないと続かない。

和泉 たとえば「0円ハウス学」での、「ホームレスのおじさんとか今まで誰も先生に呼んだことがなかったよね!」という衝撃的な感じとか、「そっちもありか!」みたいなものをどんどんやっていきたいですね。


黒崎輝男

自由大学ファウンダー。1949年東京生まれ。「IDEE」創業者としてオリジナル家具の企画販売・国内外のデザイナーのプロデュースを中心に、“生活の探求”をテーマに生活文化を広くビジネスとして展開。東京デザイナーズブロック、Rプロジェクト、スクーリング・パッド、青山でのFarmer’s Marketや246Commonなど、東京の今をつくるプロジェクトをいくつも仕掛けている。

和泉里佳

自由大学学長/キュレーター。自由大学の全体構想をまとめる学長。大学在学中はアメリカンフットボール部のチーフマネージャーとして150人を超えるチーム運営を経験。上海での毎日が大冒険的仕事生活を経て、帰国後自由大学の運営に。人生が大きくシフトチェンジするきっかけを刺激的な学びの場で得たことから、そんな感覚や経験を生かして、ワクワクの学びスイッチがONになる状況を創っている。1979年名古屋生まれ。

part2 自己増殖的に膨らむ組織体 〜 Which Way? どっちにするの?

 



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