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クリエイティブチーム日記vol.19「とらわれるな、こだわれ!」花村えみ

毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが日々のできごとを綴ります

diary_titleクリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は、花村えみです。

魅力は相手に伝わる形で伝える。オリジナルの価値は何なのかを考える

「みかん食べる?」と聞くか「風邪がふえてきたよね、ビタミンCいる?」と聞くか。人は自分が持つ問題意識や経験から、その物が欲しいか欲しくないかを考える。

Portlandで何を感じた?と聞かれたら私は「物事の価値を伝えるのが上手いと感じた」と答える。何もかもが飽和状態になっているとわれるいまの生活において、本質的な価値に注目してもらうことで物を売っている人たちが多いのだ。

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例えば「Kiriko」では日本の昔ながらの布素材をリメイクして販売をしていた。着物の布がジャケットの裏側にカッコよく貼られていたり、タイやリボンになっていたり。形を変え、そこに新しい命が吹き込まれている。

いまの着物市場は、着る人がとても少なくて、ほとんどマーケット自体も無くなってしまったと言っていいほど。リサイクル着物屋さんでは金糸の刺繍が全面に施されているおそらく原価10万円は軽く越すようなものでも2万円もだせば買えてしまう。今はお買い得?着物をまた日常的にみんなが当たり前のように着る日が来るならそうだろう。でも需給のバランスは一度壊れてしまうとなかなか戻らない。では海外に売り出していけばいい?いやいや、例えばアメリカの人からみて着物は他民族の伝統的な衣装でしかなくて、日常に着用するにはWiredすぎる。

私自身、着物を切り刻むこと、着物を着崩すことに強い抵抗感があった。それは何故かと考えると、着物を一から縫ったことがない私には最初から着物はあの形でしかなく、正当な形で着ている人が正しい、という価値観だったからだ。いつの間にか既製品に囲まれて「こうあるべき」に囚われていた。昔は自分で縫って制作していたからこそ、アレンジももっと自由でこんな風にリメイクしてあそんでいたのではないか。

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糸から紡がれ織られた力ある布。布はまだ寿命を終えていない。布の魅力を伝えるために、その物がもともと持っている力を違う形でみせてみる。

このお店ではリメイクした洋服を現地のモデルに着てもらい宣伝のための写真をとるのだとか。宣伝でも日本人モデルには着させない、そして卸す先も必ず日本人のお店ではないところ。あくまでもアメリカの流通網に乗せる。何がCOOLで現地の人が何を求めているかを現地でしっかりとアンテナを張って感じ取る。

それは「こんなかんじがアメリカ風」という奢りで行うのではなく、布が一番喜ぶ形に生まれ変わるために、その素材の由来に対しても謙虚に学でいた。お店には布についての資料がどっさりと積まれている。復刻版の婦人画報、昔はどんな風に来ていたのかをしっかりと研究していたり。徹底的に研究すること、それこそが作り手に敬意を払いつつ新しく生き返らせる方法なのだろう。

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「これが私たちの文化です」と発信することは大切。でも現地の人が取り入れやすいように歩み寄らないと、自己満足、押し付けにしかならないのではないか。それは正しくないという人もいるかもしれない。でも本当の価値ってなんだっけ?を一度たちどまって見るのもいいと思う。

「Kiriko」http://kirikomade.com

それでは、来週の日記もお楽しみに!



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