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真夏の夜の夢

星空コンシェルジュ入門 教授 丸山明

FREE from FREEDOM

隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!今回は星空コンシェルジュ入門 教授 丸山明さんの文章です。


8月13日午前3時。
今年最も期待されている流星群である『ペルセウス座流星群』の活動が、最もよく見えると予測されている時間である。天の川が見える程に条件の良い夜空であれば、
活動ピーク時には1時間で100個前後の流星が空のどこかに見られそうだ。一人で全天を見ることはできないが、複数名で観察すれば全天をカバーできるので、見落と
しの少ない高精度な観察結果が得られることになる。

今年のペルセウス座流星群が、なぜ最も期待をされているのか?それは、活動のピーク時刻が夜明け前の午前3時で、流星観察にはベストな時間帯と重なっていること。また、流星観察に最も影響を及ぼす月明かりも、23時頃には西没して皆無となるためである。この様に好条件が揃う年は稀で、今後は2020年以降まで待たなくてはならない。

そもそも流星とは、彗星がまき散らしたミリサイズの塵などが、地球の大気に突入して発光する現象のことをいう。彗星は軌道にたくさんの塵を残していく。特に軌道の中心付近ほどその密度は濃いと考えられている。今回のペルセウス座流星群の活動期間は、7月20日頃から8月20日頃までと意外と長いのだが、なかでも最も軌道の中心に近づくのが冒頭の日時なのである。

実際に流星群を観察してみると、ピーク時刻がずれたり複数のピークを観測したり、想定とは異なった活動を見せる事がある。こうした変化を見つけることも、流星群観察の楽しみの一つとなっている。

2011年夏、日本人宇宙飛行士の古川聡さんらを乗せた国際宇宙ステーションの中から、この流星群が観察された。地上400kmの宇宙空間から見る流星は、足下から地上に落ちて行く様に見え、さながら宇宙で遊ぶ「線香花火」の趣きがあった。流星は、自然界の花火なのだ。流星群観察はピーク期間の前後数日間に渡って楽しめる天体ショーであり、天候や観察者の都合に合わせて毎年楽しむことができる。

このショーを、いつ・何処で・誰と楽しむかは見る人の自由。ペルセウス座を見ることができる地球上全ての場所が、このショーの観覧席となる。稀に出現する大火球の迫力は圧巻ではあるが、出来るならば地球から1万km程離れた所から、地球サイズの「線香花火」を眺めてみたいものである。


カテゴリ: ☞ コラム


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