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暮らしの固定概念

自由大学クリエイティブチーム 小酒 ちひろ

FREE from FREEDOM

隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!今回は自由大学クリエイティブチーム 小酒ちひろさんの文章です。


暮らしを整えることは、一番身近で、誰にでもできるクリエイティブな作業だと思う。しかし身近だからこそ、無意識で見過ごしていることも多い。

この度家を建てた。間取りから何からあらゆることを決めていく必要があるのだが、どの場面でも予め、マニュアルのように標準品が用意されていて驚いた。予算という制限もある中で、標準品を選んでいけば、家が完成する仕組みだ。けれども標準品を見た瞬間に、自分の志向をその枠組みに当てはめてしまう自分に気づいた。

改めて自分がどんな家をつくりたいのかと考えても、それまで無意識で過ごしてきたことに対し、答えを見つけるのは難しい。そんなときに提示された選択肢。世の中の人はこう暮らしたいだろうと誰かが考えた固定概念に縛られそうになる。もちろん、自分で何もかもイチから考えることはできなくて、その選択肢があることはとて
もありがたい。でも、自分はどう暮らしたいのかという、そもそもの問いかけが一気に遠ざかっていくのを感じた。

そんなことがあって生活を見渡してみると、衣食住をどれだけ自分の意思を持って選んでいるかと思う。日常のことだからこそ、あまり考えなくても済むように、世の中にはたくさんの標準品があふれている。大量生産されて安さを売りにしているもの、あるいは便利さや効率性を重視して売られているものがたくさんある。私たちは
知らず知らずのうちに、こうした既製品から「普通の暮らし」という固定概念を刷り込まれている気がする。

しかし、価格や便利さだけではなくて、もっと別の基準が暮らしをつくる選択肢の中にあってもいいと思う。すべては難しいかもしれないが、生活のどこかに自分のこだわりを見出す。自分がどう暮らしたいのかという疑問がクリエイティビティを生む。それは一旦、用意された選択肢を忘れて、誰かが考えた「普通」から自由になる
ことから始まる。

今回の家のケースでは、大工さんに相談してみると意外と自分でできることも多いことがわかった。そんなふうに疑ってみると自分でできることも世の中には案外多い。未完成な部分を楽しみながら、自分でつくっていく、そんな暮らしをしばらくは楽しみたい。


カテゴリ: ☞ コラム


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