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FREE from FREEDOM

隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!そのバックナンバーをお届けします。


いま、宮大工さんの本を読んでいる。学校では早く、要領よく答えを出すことを求められるけれど、宮大工の世界では時間をかけて、自分自身の頭で考え、手で木の感覚を覚えていくこと大事だと何度も出てくる。

要領よく答えを出していく優等生は、やることが明確でプロセスを細分化することができれば、猪突猛進に進んでいくことができる。いかに効率よく最短でゴールにたどり着けるかを計算することができる。だけど、ゴールが見えないとなかなか動き出せない欠点がある。ゴールが見えなくても、自分で問題設定をして、ゆっくりでも進んでいける人は強い。

宮大工として木を操れるようになるには、本で読んだことや人から教えられることが邪魔になるという。だから、本も読まずに、ひたすら師匠がやる姿を見て、言語化できない部分を自分なりに解釈してやってみるそうだ。体験が一番ものをいう。ずっとマーケティングの本を読んでいても、売れるものはつくれない。むしろビジネス書に書いてあることと逆のところに答えがあるかもしれない。

私たち自由大学のクリエイティブチームも、講義の企画を考えるときに、マーケティングの本は読まない。毎日目で見ることや時代の空気感、自由大学に来る人たちの顔を見て考える。学びも早く何かを身につけることや、わかりやすく何かの役に立つことを求めがち。でも何の役に立つかすぐには分からなくても、自分の好奇心を満たすことが一番大事。好奇心のままに進み、体験してまた新しい問いを発見する。それには教科書が邪魔になることもある。自分の肌感覚を大事に、人生をつくっていくことがきっとすべての仕事に暮らしにクリエイティビティを生む。

text: 小酒ちひろ(クリエイティブチーム)

[自由大学マガジン vol.131 2015/4/1]



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