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好きなものは好きと自由に言おう

入門日本酒学教授 杉村啓

FREE from FREEDOM

隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!今回は入門日本酒学教授 杉村啓さんの文章です。


嗜好品、好きですか?

嗜好品の世界は千差万別、あらゆる種類のものがある、想像以上に細分化されていると言っても過言ではありません。例えば今の季節に欠かせない「チョコレート」がありますよね。冬季限定として売られているチョコと、普段から売られているチョコにはどんな違いがあるかご存知でしょうか? 実は、使われているカカオバターの種類が違い、冬季限定のものは融点が低い(低い温度で溶ける)のです。だから、寒い冬にしか売ることができないのですね。同じチョコに見えても口溶けが違うのは、こういう理由があったりします。

こんなに細かく色々な種類があるのは、我々の嗜好が一人一人違うからです。味覚は経験によって変わります。全く同じ人生を歩んできた人がいないように、全く同じ味覚を持った人はいないのです。

なので、同じ物を食べたり飲んだりしても、美味しいと思うか美味しくないと思うかは人によって違うのですね。偉い評論家の方が「これは美味しくない」と言っていても、自分にとって美味しいと思うことはままあることなのです。

また、嗜好品は嗜好するものなので、自由にアレンジを加えても面白かったりします。例えば日本酒には「燗酒」というお酒を温めて飲む文化がありますが、燗酒に向くお酒(温度を上げると美味しくなるお酒)、向かないお酒と言われたりするものがあったりします。でも、本来は温めないようにするとされているお酒でも、温めると香りがふんわりと広がり、とても美味しくなるものがあるのですね。自分の家で嗜好品を楽しむときは、固定観念にとらわれずに色々とアレンジすることでも、新たな面を発見することができます。

人生を豊かに送るコツは、好きなものは好きと言うことです。嗜好品を楽しむ心は、大いに人生と心を楽しくしてくれることでしょう。ただし、同時に自分が好きでは無いものを好きな人がいるということを忘れてはいけません。自分が好きなものを悪しざまに言われて、いい気がする人はいませんよね。好きなものを好きと言う自由は、他のものの悪口を言っていいという意味ではありません。その部分をはき違えず、自由に、心の赴くままに、「好き」を楽しんでいきましょう。


カテゴリ: ☞ コラム


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