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はじめる自由

睡眠学キュレーター 大野佳祐

FREE from FREEDOM

隔週で発行している「自由大学マガジン」の人気のコラム、FREE from FREEDOM!今回は睡眠学キュレーター 大野佳祐さんの文章です。


社会人になって、得意じゃなかった「半ば強制的」も「みんな横並び」もほとんどなくなり、不慣れではあったけれど、「やるもやらないも自分次第だぜ!」と思えて嬉しかった。

社会に出て2年目の春、ほとんど無計画に(内心はおろおろしながらも)、阿佐ヶ谷の古本屋の日替わり店長になった。会社の就業規程は知っていたけれど、「開店は18時だし、お金ももらわないし、本を読む時間になるし、勉強のつもりで」と気にしなかった。店長になる目的も意味も明確にはなかったけれど、「楽しそうだったからやってみよう」と思い、店主にメールをして飛び込んだ。

もちろん仕事は忙しかったし、僕には他にもやりたいことがあって、三足の草鞋は大変だったけれど、「できない」と言うのは癪だった。せっかく自由になってできることが増えたのに、自分で「できない」ラインを引くなんてちょっと許せない。だから内緒で朝6時に出社して、必死で仕事を片付けたりした。僕は頑固だから、仕事の方で「できない」というのもこれまた癪で、何とかしようといろいろもがいた。

おかげさまで、時間はつくり出せるということや、制約の中にこそクリエイティビティの源泉があることを学んだ。そして、何よりも「最初の一歩」がないと次がうまれないことを知った。

人から見れば、じたばたしてダサかったかもしれないけれど、「最初の一歩」を踏み出せずにおろおろしている自分と比べたらずいぶん誇らしい。目的性や意味性ばかりを取り上げて、「思考フル回転・行動停止状態」に陥っている自分よりずっといい。

あの時の、自分でもあきれるくらい自由自在に飛び込んだ感覚は、まだ心にも身体にも残っている。「はじめる自由」は僕自身のものであり、あなた自身のものだ。会社でやりたいことと自分のやりたいことで迷うなら、どちらもはじめてしまえばいい。「二兎を追う者は一兎も得ず」と偉い人は言うけれど、二兎を追えばもしかしたら二兎を得ちゃうかもしれないぜ!と僕は思う。

今、また新しい世界が目の前に広がろうとしている。おろおろとしながら、それでも進んでみようかなと思っている。


カテゴリ: ☞ コラム


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