講義レポート

旅学」第9期 第4回目のゲストは、ベリーダンサーのtazukoさんをお迎えしました。冒頭から”ジプシー”や”モロッコ”などオリエンタルな言葉が並び、どんなことを語ってくれるのか興味津々でスタート。

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tazukoさんは、トルコでベリーダンスに出会い、カイロ、パリを経て、念願のマラケッシュでの初公演を終えてからニューヨークへ。なんでもありのニューヨークには、エンターテイメントやキャバレーやトライバルベリーダンス(各国の民俗舞踊を含めたダンス)など、さまざまな形のベリーダンスがあり人種も多様。ニューヨークでは、ベリーダンスの定義が他と違っていて面白かったといいます。「ベリーダンスとは一体なんなのか?」といったら、「そういったいろんなものを含めてベリーダンスといえる懐の深さが、ベリーダンスの真髄だと思う」と話してくださいました。

ニューヨークでは、語学学校に入学しなかったtazukoさん。「余計なことはしない。語学を学びに来たのではなく、私はダンスをするために来た」とのこと。これには頭をガツンと殴られたようにしびれました。かっこいい!

ニューヨークから帰国後、故郷の沖縄で活動したいと思うようになったそう。そのころ「ダンサーとは何か?」をすごく考えていたtazukoさんは、ダンサーの地位の低さに寂しさを覚えていましたが、かつての琉球王朝では踊り手は「踊り奉行」という政治的役職につくこともあり、外交カードとして政治的役割を果たしていた、という話を聞き、とても嬉しかったのだそうです。

tazukoさん自身がとても印象に残っているのは「過去は体に宿る。未来は精神に宿る。過去をもってして未来を見せるこの瞬間がダンサーなのだ」という先生からの言葉。「ダンサーとは?」という問いは、これに尽きるということです。

sugee教授のジャンベとベリーダンスのセッションを観せていただき、tazukoさんのベリーダンスは、いわゆるベリーダンスとは違い何か神々しさを感じました。でもご本人は神々しいと言われるのは不思議に感じるようで、ダンスは「排泄活動」だという認識なのだそうです。その「排泄活動」という表現に妙に納得しつつも、tazukoさんのダンスに、私は古事記の「アマノウズメ」のような聖俗両方を備えた神秘性を見ました。sugee教授の「海の香りのする動き。寄せては返す波のよう。」という言葉にも納得。

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受講生からは「自分も踊りたくなった」「肉体での表現に生命力を感じた」「体から音楽が鳴っている様」という感想が飛び出しました。「動きで何かを表現しようとしていますか?」という質問に、「特になにも表現しないと思ったときから、踊るのが楽しくなり、からっぽにして即興するのがとにかく楽しい」というお答えでした。sugee教授からもグルーヴに乗ったらそれは演者のものではなくみんなのもの。そこに演者の作為はないというお話があったのも印象的でした。

今回は、ベリーダンスの入り口を覗くプチ講座があったりと、第2回の呼吸法に続き、今回も実際にみんなでベリーダンスの動きを体感。第4回もアットホームながら楽しく盛り上がる講義となりました。沖縄で行われているベリーダンスの教室にレッスンを受けに行こうという話も飛び出すなど、受講生のみなさんは、ベリーダンスとtazukoさんの人柄に魅了されたようです。

(text:「旅学」アシスタント/橋場千寿子)



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