講義レポート

こんにちは。旅学サポーターの吉澤裕樹です。
第3回目は、トラベルカルチャーマガジンTRANSIT」 編集長の加藤直徳さんをゲスト講師に招いての旅学。
加藤さんはこれまで、「TRANSIT」を通算13号、「TRANSIT」の前身となる「NEUTRAL」を12号発刊してきました。素晴らしい写真と世界観そして豊富な情報で、数多くの旅を愛する人々に支持され続けています。

今回は、その取材の旅のエピソードを通し、旅の中から学ぶ文化の多様性、地球という惑星に生きる’共生’の心、そして旅から得たメッセージを人々に伝える秘訣についてディスカッションを行いました。


加藤さんは、アフガニスタンの旅をきっかけに、『NEUTRAL』を創刊。美女、結婚、水、パラダイスなど、一般的なガイドブックとは異なる、独自の視点で特集を組んだ。
これは、加藤さん自身が知りたいことをそのままテーマとしたためで、NEUTRALのテーマは、加藤さんの人生と大きくリンクしていた。

雑誌の編集で一貫しているのは、文化の多様性を掘り下げ、紹介すること。エリアを限定するようになった「TRANSIT」でも、この姿勢は変わらない。
読み手に多様な価値観を実感してもらい、日々の生活に生かしていってもらいたい、と願う加藤さんの想いに、大いなる使命感を感じた。加藤さんは、雑誌という手段を通して、多様な文化・価値観の存在を知り認め合う共生の心を伝えようとしているのだ。
取材において気にかけていることは、感情の振れ幅を大きくしておくこと、だそうだ。
ふだんは見過ごすようなことが気になって新たな気づきを得られるし、現地の人との交流において、過剰に反応していくと、相手からもさまざまな反応を引き出すことができる。旅とは、感性をできる限り開いて、寛容になることが大事なのだと感じました。
また、訪問国のプロフィール(歴史・民族・宗教など)を事前に調べておくことも忘れないそう。取材のためにはもちろん、旅人として訪問国のことを知り深めることは必要だと思いました。

エピソードの中での印象的な話。
ジャマイカでは小さな村ごとに音楽を創り、競い合い、踊って楽しんでいる。現実の経済は貧しいのに、国民は非常にゴキゲンで、自殺率は世界で3番目に低い。音楽でストレスを発散しているのだ。日本は経済的に豊かと言われるが、自殺者は少なくない。
豊かさの基準って何だ?
貧しい国は、GNPを向上させることを一般的に目指すが、それだけが豊かさじゃない。そのことに気づいている人が増えてきている。
雑誌「TRANSIT」を読めば、そういったことが分かるのだと思います。既読の特集も含め、今までのすべてを読みふけりたくなってきました(笑)。バックナンバーは、アマゾンかブックオフで入手できるかも、とのことです。
最後になりますが、加藤さんがオススメする旅のスタイルについて。
「特定の人の足跡・考え方を追う旅」。加藤さんは、ゴッホの生誕から死までを追って、オランダから南仏まで旅をした。ゴッホがみたものを目にしながら、自分なりに受け止め、考える。この考える作業が、旅のレベルを引き上げる。そう、加藤さんはおしゃっていました。
次回7/22(金)は、台湾に魅了され何度も足を運んでいる料理研究家、飯野登起子さんをゲストにお招きします。飯野さんのつくる台湾家庭料理を頂きながら、旅の醍醐味でもある各地の食文化ついてトークセッションをし、旅で出会う感動とそれを人に伝えるという技を学びましょう。
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「人はなぜ旅に出るのか?(ゲスト:写真家の中川太郎さん)」講義レポート


【講義データ】旅学
[日程]金曜日 19:30 – 21:00 7/1, 7/8, 7/15, 7/22, 7/29(全5回)
[会場]世田谷ものづくり学校内 2F 207教室
[教授]SUGEE
[ゲスト]中川太郎(写真家)、加藤直徳(雑誌TRANSIT編集長)、飯野登起子(料理研究家)
※1回だけの聴講制度もできました。
各回のカリキュラムやゲスト情報は旅学講義ページをご覧下さい。
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