講義レポート

昨年12月末より開講した新講義「ワールド宗教学」の記念すべき第1期が、無事修了しました。
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初回の講義で、受講生のみなさんから自己紹介をしてもらいながら「なぜこの講義を受講しようと思ったのか?」という動機やきっかけを聞いてみたところ、
「宗教についてあまり知らなくて・・・」
「ニュースで怖い中東問題を見て、本当はどういうことなのか知りたくて」
「キリスト教やイスラーム教についてなんとなくは知ってるけど、ちゃんと知りたいと思って」

などなど、ひとことで言えば、宗教初心者の方がほとんどでした。

実は、この講義が始まる前に「どうすれば『宗教』という一見とっつきにくいものを、もっと気楽に学んでもらえるのか。心の垣根を取っ払ってもらえるのか」を考えていました。そこで、教授の小出さんが提案してくれたのが「映画を通して宗教を身近に感じてもらう」ということ。

つまり、映画を楽しみながら、そのストーリーの中で「キリスト教ではこんなふうに考えるなんて面白い」とか「イスラーム教を正しく知らなければ、今のシーンは何も考えずに見過ごしていたな」といったことを素直に感じる。そこから徐々に宗教への理解を深めてもらったり、より興味を持ってもらえれば、と考えたのです。

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初回こそ、受講生のみなさんの面持ちは緊張気味でしたが、その後の講義で「この映画おもしろかったよ」「イスラーム教が以前より理解できた気がするね」と感想を言い合ったり、たくさんの疑問を講義の中で(ときに、講義が終わって交流会の中でも)ぶつけ合ったりしました。

たとえば、第2回「日本の宗教」のでは、「神様に性差はあるのか」や「門松や獅子・狛犬など宗教的なものはなぜ対になっているのか」といった質問が出たり、そこから派生して「鏡餅」「お年玉」の意味や由来など、ちょっと知ってるとタメになる雑学などを、教授が紹介してくれました。

また、第3回「イスラーム教」では、中東に旅行したことがある受講生からの「子供にお金をせびられた」や「タクシーでぼったくりに合った」などのエピソードから、それが宗教とどのように結びついているのかを話し合ったり、中東と仕事でやり取りのある受講生からはビジネスや商習慣に関する質問も飛び出したりしました。

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全5回を通して感じたことは、「宗教はとっつきにくい」「宗教は怖い」「イスラーム教は理解し難い」「日本人は無宗教な人が多い」「中東では宗教戦争が盛ん」といった誰しもが抱いているイメージは、実は偏った見方や思い込みであり、そのほとんどが間違っているのだということ。正しく理解すれば、実は宗教はどれもシンプルで、その国の文化や歴史、そしてそこに暮らす人々のアイデンティティを知ることができるのです。

この講義は、海外旅行好きの方、映画好きの方、アートや美術品に興味のある方、歴史好きの方、国際交流に興味があったり海外に友人の多い方、など、幅広い方に楽しんでいただけて、また有益な情報を得る場にもなると感じています。

「自分は無宗教だ」と思っている方でも、初詣に行ったり、七五三をしたり、お葬式に参列したりしますよね? 私たちの日常にはあまりにも宗教が自然に溶け込んでいるので、普段考えることがあまりにも少ないのかもしれませんが、日本人は非常に信心深い国民なのです。

ワールド宗教学」の講義で、あらためて「宗教とは何か」という自分なりの軸を得たことで、今後、いろんな宗教の国々を訪れることが楽しみになりました。さぁ、このレポートを読まれたみなさん、一緒に「世界の宗教」を勉強してみませんか?
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(text:「ワールド宗教学」キュレーター/小林圭子)



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